ヴォード家に嫁ぎました!【ブラッククローバー / R18】
第7章 涙の行方※
あれから1週間は過ぎていた。自分の気持ちに気付いてから、早くランギルスさんに会いたくて仕方がなかった。けれど今すぐに気持ちを伝えていいかどうかはわからなかった。
フィンラルさんに告白されて断ったけれど、ランギルスさんがわたしのことを好きじゃないかもしれない。わたしの一方的な気持ちなら迷惑になるかもしれない。他に好きな人がいるとしたら、許嫁のわたしが邪魔者なのかもしれない。
考えれば考えるほど悪い方に考えてしまう。ランギルスさんの次の休暇はいつだっけ?早く会いたいな…そんなことを想いながら、キッチンでランギルスさんのお気に入りの紅茶を淹れた。
中庭のベンチで飲んでいるうちに眠くなってきて、そのまま目を瞑った。今なら周りに誰もいないし言ってもいいよね?
「ランギルスさん…会いたいです…」
小声でそう言って、そのまま眠りについた。
誰かが隣に座ってくれているような気がした。落ち着く匂いがして、温かくて。
ハッとして目が覚める。
「…え?ラ、ランギルスさん…?」
思わず大きな声で俯いた。わたしの隣にはランギルスさんが座って、わたしに寄りかかって寝ていたのだ。
「……なんなんですか。僕が寝てるって言うのにうるさいですよ」
ランギルスさんはそう言って眠そうな目を擦る。
「起こしてしまってごめんなさい…休暇は来週だと聞いていたので、びっくりして…」
わたしはうれしくて胸が高鳴っていた。本当は素直にこの気持ちが伝えられたらよかったのに…今はまだ伝えるのが怖かった。
「ランギルスさんも紅茶飲みますか?」
「いや、結構です」
お互いベンチに座ったまま沈黙が流れる。
「兄さんとの食事は楽しかったですか?」
沈黙を破ったのはランギルスさんだった。
「…へ?まぁ、そうですね」
「へぇ、それはよかったですね…ミライさんは兄さんといっしょになる方がいいかもしれませんね」
ランギルスさんの様子がいつもと違うような気がした。
「どうしてですか?やっぱりあの人が好きなんですか?わたしとのことは都合がよかっただけですか?どうして…どうしてそんなこと言うの…」
わたしはランギルスさんの態度と言葉に理解ができず、言いたいことが止まらなくなり涙がこぼれ落ちた。