ヴォード家に嫁ぎました!【ブラッククローバー / R18】
第3章 喪失※
この状況を何とかしなければならないのに、手首を押さえつけられているため身動きが取れない。
「わたしはフィンラルさんと……いっしょになるつもりですから……」
「何を言っているんですか?次期当主はこの僕に決まってるじゃないですか。ミライさんは僕と結婚するんですよ。出来損ないの兄さんがなれるわけがないでしょう?」
「でもっ……!フィンラルさんはわたしに待っててって言ってくれました……必ず時期当主になるって……」
「はぁ……、兄さんのどこがいいんですか?僕にはわかりませんね……僕の方がずっと特別だ」
こういうところが苦手だ。フィンラルさんを見下してバカにしているところも、魔力が強ければ特別だと思っているところも、わたしはランギルスさんのことがきっと嫌いだ。
「とにかく……離してください……」
「僕の部屋に入ってきたのはミライさんだ……どうなっても知らないと言ったはずですよ?わからないなら、教えるしかないですね……」
ランギルスさんはそう言うと、わたしの唇を塞いだ。
「やっ……め……んぅ……!」
唇の隙間から舌が入ってきて、わたしの舌を絡めとり口内を掻き回される。キス自体が初めてなのに、こんなに激しいキスをされて息が上手く吸えない。強制的にされるがままにキスをされ、解放された頃には脳内が酸欠状態になっていた。
「っはぁ……、はぁっ……」
「抵抗しないんですか?“兄さん”が悲しみますよ?」
初めてのキスを好きでもない人に奪われて、フィンラルさんにも申し訳なくなり涙が出てくる。ランギルスさんはわたしの手首を解放し背中に手を回すと器用にドレスのチャックを下ろした。乱暴に上半身だけ脱がされ、わたしの胸が露わになる。あまりにも恥ずかしくて泣きながら手で隠した。
「ランギルスさん……もうやめて……こんなことっ」
わたしの力ない抵抗も虚しく、ランギルスさんはまたわたしの手首を押さえつけ首筋に舌を這わせてきた。
「んんっ……やぁっ……!」
経験したことのない刺激にビクッと体が反応してしまい、勝手に声が出てしまった。すると突然、首筋にチクチクと痛みが走る。
「いっ……!?ランギルスさん……いたい……です……」
「ミライさんは僕のものだ……その印をつけておきましたよ……」