C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第15章 居場所
ヤミ団長は泣いているわたしの頭をポンッと撫でた。
「いつまでも泣いてんじゃねぇよ。お前には仲間がいる。居場所がある。今はそれでいいだろ?それとも現実世界に早く帰りたくなったか?ハッハッハ!」
「現実世界に帰ってもまた毎日同じ仕事をしてただ目標もなく漠然と生きるだけ……彼にもフラれて生きる意味って何だろうって思ってたら、突然トリップして……わたしは何かに縋らなければ生きていけないんです。そのたびに希望と絶望を繰り返して……でもこの世界に来て、暴牛のみんながいてくれて必要としてくれて……帰りたいなんて思うわけないです……」
「何かに縋るのは別にいいんじゃねぇの?それが酒でも男でも夢でも何でもよ。ただ、それが全てじゃねぇ。世界を見ろ。諦めねぇことだ。それはあの小僧を見てりゃわかんだろ?」
「アスタを見てると、小さなことで悩んでいた自分がバカらしくなりました……小さなことにくよくよしない。常に前を見て時間を大切に生きる。一つのことに依存して周りが見えなくなって、世界を狭めて諦めていた。こんな当たり前のことを現実では気づかなかった。」
「つーかお前、現実世界でも男で悩んでたのか……そこはこりねぇんだな……」
「はい……でも現実世界では相手を受け止めたい気持ちよりわたしを受け止めてほしいって考えで、相手に求めてばかりでしたけど……この世界に来てランギルスに出会ってから、恋愛観も変わった気がします。ランギルスを受け止めてあげたいってそれで彼が少しでも救われるならって……まず相手のことを考える。」
「それが所謂、愛ってやつだな。見返りを求めず相手に尽くす。それがあの坊ちゃんにはまだ難しいようだ。あいつは自分のことしか考えられてねぇんだよな。相手のことより自分優先になっちまう。簡単なようで難しいことだな。」
ヤミ団長と話しながら肉を大量に買い込み、アスタが治療をしている場所へと戻った。
すでにそこにはフィンラルと治療を終えたアスタが待っていた。
「どうしたんですか?その荷物?ミライちゃんも連れてどこ行ってたんです?」
「あぁ?いいから帰るぞ。さっさと空間魔法出せ、フィンラル。」
「はい……」
フィンラルはなぜか落ち込んだ表情をしている。
フィンラルの空間に入る。陽が傾き、辺りが段々と暗くなってきていた。