C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第14章 戦場で見たもの
「「うぐ……た、たすけて……」」
民衆たちが苦しそうに助けを求めている。だが、先ほどわたしが見たランギルスの魔法が当たれば、敵兵だけでなく民衆も死んでしまうのだ。
ランギルスは巻き込まれている民衆に構わず、グリモワールを出し魔法を発動しようとする。
「仕方ない、国のために彼らには尊い犠牲になってもらおう……」
ランギルスがそう言って手を振りかざそうとしたとき、アスタが止める。
「待てぇぇ!!何国民を見捨てようとしてんだ……!俺たちは魔法騎士団だぞ……!!」
「放っておいたらもっと犠牲者が出るだけだよ……」
「うるせぇぇ!!俺は誰ひとり見捨てたりしねぇ!!フィンラル先輩!チャーミーパイセン!」
「あぁ!!」
「ラジャ!」
アスタがそう言うと、フィンラルとチャーミーが返事をして戦闘態勢に入る。
「ユノ、ミライさん、見ててくださいよぉぉ〜!!」
「お手並み拝見といこう……ミライさん危ないですからこっちに来てください」
ユノさんはそう言って、呆然と突っ立っていたわたしの腕を引っ張った。
アスタが勢いよく後退する。
「うおぉぉぉ〜!!」
綿創成魔法“羊のモコモコクッション”
ズムムムム────……
チャーミーの魔法で羊のクッションをバネにし、アスタは思いっきり敵兵に向かって物凄いスピードで真っ直ぐに飛んでいく。
ドヒュッ────……
「なんじゃ、貴様は……!!ガキは引っ込んでろ!!」
敵兵はそう言うと、飛んでいるアスタに向かって粘液を飛ばした。
その瞬間、フィンラルの空間魔法でアスタの出現場所を変える。今まで敵兵に前から向かっていたアスタは敵兵の見えない上の位置からアンチ魔法の剣を咥えて現れ、敵兵の魔法を切り裂いた。
ドサアァァァァ────……
アスタの剣が相手の魔法に触れた瞬間、魔法が消された。粘液で拘束されていた民衆が一気に助け出される。だが、敵兵はまだ倒されていない。
「なんじゃと……わしの魔法が消されたァァ……なにをしたガキ……!!」
敵兵はまたアスタに向かって粘液を飛ばす。粘液がアスタに当たる直前、またフィンラルの空間魔法でアスタの出現場所を変えると今度は敵兵の背後にアスタが現れ、敵兵を一撃で倒した。