C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第14章 戦場で見たもの
屋根の方を見上げると、そこにはランギルスがいた。ランギルスと目が合ったので、わたしは気まずくて目を逸らした。
わたしの隣にいるフィンラルを見ると、露骨に嫌な表情をしていた。
「おや……?これはこれは……兄さんじゃないですか……?お久しぶりですね。こんなところでお会いするなんて……」
「ランギルス……」
「ろくに戦えもしない一族の恥晒しが……戦場に何の用ですか?」
ランギルスはフィンラルに向かって、バカにするように嫌味を言って挑発し始めた。
「フィンラル先輩!なんなんですか?あの失礼なヤツは!」
「俺の弟だ……」
アスタが聞くと、フィンラルがそう答える。
「金色の夜明け、ランギルス・ヴォード副団長だ。」
ユノさんがそう言うと、アスタとチャーミーがわたしの方を見て聞いてくる。
「え〜!副団長?ってミライさんがさっき言ってた男の人って……あの人のことスカ?」
「あの人がミライちゃんの……彼氏?」
わたしは気まずすぎて何も答えられず、黙ってしまった。こんなかたちでフィンラルに知られることになるとは思ってもいなかったからだ。
「ミライちゃんが王都で会ってた人ってランギルスだったのか……」
フィンラルはわたしの方を見て、切なげな声でそう言った。ランギルスは挑発を続ける。
「兄さんはまだ黒の暴牛なんかの運び屋をやっているんですか?兄さんがそんな情けないから……僕がヴォード家当主を継がなきゃいけなくなりそうじゃないですか」
「ふざけんな!フィンラル先輩はすげぇぞ!海底神殿じゃフィンラル先輩がいたからこそ敵を倒すことができたんだ!」
「へぇ……めずらしく少しは役に立ったんですか。めずらしく……」
「てゆーかお前、お兄さんに向かってなんて口利きやがんだこのヤロー!!」
「金色副団長に向かってなんて口利くんだい……君は……」
「な、なにを〜!!」
アスタが反論しても、ランギルスはつらつらとフィンラルをバカにして嫌味を言い続けていた。フィンラルがそれを止める。
「いいんだ……アスタくん本当のことだからさ?はははっ!」
「もう敵は粗方片付けましたし、なにより団長が全部やってくれちゃいましたからね……もう暴牛さんの出る幕はないですよ。」