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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第14章 戦場で見たもの





男の子はそれでも先に進む。わたしの手を引っ張って言うことを聞いてくれない。


黒い服を着た敵兵であろう人物が不敵な笑みを浮かべて、魔法騎士や兵士たちをいたぶっていた。粘液のようなもので拘束しているようで、捕らえられた者は逃げることができないようである。


あんな魔法で攻撃されたらわたしもこの子も死んでしまう可能性がある。早くこの場から離れないと……とりあえず男の子を説得するため、敵に見つからないような路地裏に逃げ込んだ。


粘液創成魔法“ミュカス・ネイル”


「この魔法は捕まえたものの魔力を著しく弱め、もうここから出ることはできんぞ……!無力な者が苦しみ悶える姿は堪らんのう……」


すぐ近くで敵の声が聞こえる。これは、ものすごくまずい状況だ。早くフィンラルたちのいる場所に戻らないといけない。なのに、男の子はまた泣き始めた。


「グスッ……おうち見たいよ……」


「うん……今はそこに怖い人がいるから少し待とう?」


とりあえずこの状況をこの場でしのぐしかない。フィンラルたちの元へ戻ろうと下手に表に出れば敵に見つかりかねない。わたしは恐る恐る表の様子を覗く。


「ひっひっひ……」


敵兵に立ち向かっていた魔法騎士も拘束され、倒れてしまっていた。一度覗くのをやめ、このあとどうやって戻るか考える。


「お姉ちゃん?魔法騎士さんどうなったの?敵をやっつけてくれたかなぁ?」


「う、うん……大丈夫。心配しないで。」


男の子が不安にならないように嘘を言った。わたしから見えた範囲では、表にいる魔法騎士や兵士はあの敵兵にほぼ拘束されていた。すると、聞き覚えのある声が表から聞こえてくる。


「へぇ……やりづらそうな魔法だね……」


表の様子を再度覗くと、そこにはランギルスがいた。向こうからこちらは見えない位置なので気づかれることはないと思い、そのまま見ていた。


ランギルスは掌から青い空間を出すと、そのまま手を振りかざす。


「まぁそんな魔法、僕の前ではなんの意味もないけどね……」


べシャア────……ズウゥゥン────……


ランギルスの空間が当たった敵兵は魔法ごと切り裂かれ、一瞬で倒れた。そして後ろの建物も同時に激しい音を立てて壊れていく。


「あちゃ〜この魔法……なんでも壊しちゃうのがな〜また誰かに造り直させればいっか」



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