C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第13章 海底神殿の伝説
「海底神殿で言い伝えられている伝説だそうだ。まぁ、あのジジイは眉唾物だと思ってるらしいが……満月の夜の24時、ラクエの海岸で想いの通じ合った者がこの世界からの逃げ道として異世界に繋がる空間に入ることができる。それは神がつくる道だとされている。
ただそれが現実になるのは、真実の愛だけだ。嘘や口から出まかせだと、その道はできない。神様が決めることだそうで人間が故意に道を作ることは不可能だ。その道ができて異世界に繋がる空間に入ったとき、およそ1分経つと魔が弱まりこの世界には二度と戻ることはできない。
2人で異世界に逃げることも、どちらかをこの世界から救うために異世界に送ることも使い方は自由だ。ただ……異世界へ行って5分もすれば、この世界にいた記憶は抹消される。何もかも全て記憶がなくなるとされる。
そして道を作れる可能性があるのは唯一、空間魔導士だけだ。他の魔導士ではまず不可能だ。ただし、それも2回までだ。たまたまミライの場合は条件が揃ったことで異世界への道が繋がったようだ。満月の夜24時に空間魔導士と真実の愛で結ばれた。1回繋がったから残り1回しかねぇってことだな。」
「ほう……伝説か……この世界は国同士の争いがある。それに加えて白夜の魔眼が襲ってくることもあるだろう。この世界は平和ではないが故、愛を誓い合った者同士が幸せになるための逃げ道を神様が作ったということだろうか?なかなか難しい条件下だ。真実の愛……か……」
魔法帝は納得しているようだが、わたしは驚きのあまりに言葉が出てこない。ヤミ団長の説明では、真実の愛がなければ異世界に繋がることができないというのだ。
ラクエの海岸であの日、ランギルスとわたしの間には真実の愛があったということだろうか?とはいえ、今はもうその条件には当てはまらないはずだ。
「おい、ミライ。何か言え。」
ヤミ団長にそう言われて、ハッとする。
「あ……驚きました……そんなことってあるんですね……でも、たぶんもう現実には帰れないと思います……」
「はぁ?何言ってんだテメーは。」
「あの……もう、愛はないと思うので……」
わたしが俯いたままそう言うと、ヤミ団長はため息をついた。
「ロマンチックなのら〜!で、その相手は誰なんだい?ミライちゃん。」