C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第12章 悲しい夜※
クラウスさんの突然の行動にユノさんが呆れながらツッコミをいれる。それでもクラウスさんは腕を離してくれない。
「この両手首の内出血した痕はなんだ?随分と痛そうだ。それに……」
クラウスさんは腕を掴んだまま、視線をわたしの顔に移すとメガネを触りながら見つめてくる。
「だから、先輩……さっきから何してるんですか?ありえないですって」
「クラウスさん……ちょっと恥ずかしいです……」
4人で席に座り朝食を囲んでいるとはいえ、ここは食堂なので他の団員たちもいるのだ。そんな中で腕を掴んだままわたしの顔を見つめてくるクラウスさんにユノさんもまたツッコミをいれている。
「その首の赤いアザはなんだ?何かあったのか?心配だ。わたしに言ってくれ。」
「あら……痛そうですわ……どうしたのですか?痛いようでしたら、わたしの回復魔法で治してあげますわ!」
首元が隠れる服を持ってきてないため、ワンピースにローブを羽織っただけでは胸元とお腹は隠せても首までは隠れない。
クラウスさんとミモザさんに手首の痕と首のアザに気づかれ、心配される。特にクラウスさんは心配性なのか腕を掴んだままだ。
「先輩……たぶん言えない事情があるんじゃないですか?それに、ずっと腕を掴んでたら勘違いされますよ」
ユノさんは心配するわけでもなく、どこかわかっているかのような態度でクラウスさんの心配ぶりに呆れてため息をついている。
「クラウスさんもミモザさんも心配してくれてありがとうございます。でもこれは草むしりのときの虫刺されと自分の不注意で怪我をしただけなので……大丈夫です!」
そう言っても、わたしの腕をなかなか離してくれないクラウスさん。
「本当か?」
「はい……本当に大丈夫ですよ?」
カツカツと誰かがわたしたちの席に向かってくる靴の音が聞こえる。わたしたちの席の前で立ち止まったのはランギルスだ。
「これはこれは……ランギルス副団長。おはようございます。」
クラウスさんがわたしの腕を掴んだまま挨拶をした。わたしは気まずくてランギルスの方を見ることができず、隣のユノさんの方に顔を逸らした。
「クラウス。任務の件で話しがある。後で副団長室に来るように。それと、黒の暴牛の下民の女にデレデレとして恥ずかしくはないのかい?君にはあきれるね……」