C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第11章 金色の夜明け団※
眠れないので、夜風に当たろうと中庭に出てきた。
黒の暴牛のみんなは今頃どうしているだろうか。
そんなことを考えながら、草むらに座って夜空を見ていた。辺りは暗く、月明かりが輝いている。
しばらくすると、草の上を歩く音がして誰かがこちらに向かってくるような気配を感じた。
こんな時間に誰……?
「おい、誰だ……そこにいるのは。こんな時間にここで何をしている。」
……え?この声は……ランギルスだ……間違いない。任務に行っているんじゃなかったの……?
振り返ると、そこにはランギルスがいた。月明かりしかないので、表情がよく見えない。
「君は……」
「ランギルス……」
しばらく沈黙が流れる。夜風がやけに冷たく感じた。
「……どういうことだ?」
ランギルスの凍りつくような冷たい声に胸が痛くなる。
「……わたし黒の暴牛で働いてるんだ。言わなくてごめん……黙ってるつもりはなかったんだけど、言う必要もないかなって……」
そもそもランギルスはフィンラルという名前を出していなかったし、わたしはヤミ団長を通して兄弟だということを知った。フィンラルがお兄さんだということをわたしが知らないと思っているはずだ。ただわたしが一方的に傷つけたくなくて、黙っていただけ。
「君は僕のことをわかっていないね……なぜ君は兄さんのそばにいるんだ……?」
「ランギルス……なにを……言ってるの……?」
わたしは知らないふりをした。消え入りそうなランギルスの声を聞いて、これ以上傷つけたくなかったからだ。知ってて黙っていたのと、知らなくて黙っていたのとでは違う。知らないふりをした方がいいと思った。
「君は黒の暴牛でいっしょにいて気づかなかったのかい……?僕の兄さんは……黒の暴牛にいるフィンラルという名だ……」
「ごめん……気づかなかった……でもわたしはフィンラルを好きじゃないし、ランギルスのことを好きな気持ちは嘘じゃない……」
「兄さんの名を呼ぶな……僕にはわからないね……嘘じゃないなら僕にわからせてくれよ……なぁ……?」
ランギルスは切なげな声でそう言うと、わたしを草むらに押し倒し片手で力強く手首を押さえつけ組み敷いた。
「いっ……!ランギルス……やめっ……」
「まさか君が……兄さんと同じ団にいたとはね……」