C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第9章 団長のいない夜
────目を開けると、空がオレンジ色になっていた。陽が傾き始めている。
どうやら草むらで寝そべって考え事をしている間に、寝てしまったようである。アジトに戻らなきゃ……
ランギルスのことは誰にも相談できない。フィンラルのことも傷つけてしまう。このまま黙っているしかない。それが一番誰も傷つけないと思った。
そもそもわたしは黒の暴牛の任務に行くことはないし、金色の夜明け団と顔を合わせる機会もない。団長や副団長クラスなら尚更関わることもなさそうだ。
知らなくていいこともある。知らない方がよかったことをわたしは知ってしまった。
ヤミ団長は誰にも言わないと言ってくれたし、ランギルスとのことはヤミ団長しか知らない。不思議な出来事を魔法帝に報告したとしても、その情報が他の団や他の団員に漏れることはないだろう。
ランギルスにも黒の暴牛にいることをわざわざ言う必要はない。そう決心し、アジトに戻った。
────アジト
「ミライ〜!遅かったじゃないの〜!あら?顔色悪いわ…悩みごと?」
「ミライちゃん……俺、またナンパ失敗した……ミライちゃんも悩み事?」
バネッサとフィンラルに出迎えられる。
もう外も暗くなりかけていたため、アスタ、ノエル、ゴーシュ以外の団員がすでに帰ってきていた。
「ううん、大丈夫だよ!心配かけてごめんね……」
相談できないことなのに、心配をかけてしまって申し訳なく思った。
「言えないこともあるわよね……そんなときはパァーッと飲みましょ!フィンラルもナンパ失敗したんでしょ?3人でいっしょに飲むわよ〜!」
バネッサに誘われて、バネッサとフィンラルとわたしの3人でアジトで飲むことになった。
「「かんぱ〜い!!」」
バネッサが買ってきた特選クローバープレミアムというお酒を勧められるがままに飲む。
楽しくてついつい飲みすぎて、わたしは頭がふわふわしてきていた。意識が朦朧とする中、2人の会話が聞こえてくる。
「ミライ〜!ほらっ飲んで飲んで〜!」
「バネッサさん……ちょっと飲ませすぎじゃ……」
「フィンラルが飲まなさすぎなのよ!まだ1杯しか飲んでないじゃない!」
「俺はヤミさんの相手もありますし、そんなに飲めませんよ!」