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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第9章 団長のいない夜





ラクエでの不思議な出来事の件について魔法帝に報告することになり、わたしは団長室を後にした。


1人になりたくてアジトの外に出て、川が見える場所まで歩いた。草むらに寝そべって目を閉じた。今までのことを思い出すように。ランギルスの言っていたお兄さんがまさかフィンラルだったなんて……


そして、王都での戦功叙勲式から帰ってきたときにフィンラルが話してくれた弟のこと……それがランギルスだったんだ。2人がわたしに話してくれたことを思い出すと、確かに話しが繋がっていく。


フィンラルは空間魔法で攻撃ができなくて弟にバカにされてきたこと、ランギルスは攻撃のできないお兄さんに対しての気持ちをわたしに話してくれていた。ヤミ団長が言うように同じ空間魔法の使い手。よく考えたらそうだ。なのに、わたしは気づかなかった。


ランギルスが魔法騎士団トップである金色の夜明け団のまさか副団長だとは思ってもいなかった。フィンラルは有名な貴族の出身だと言っていたしお兄さんであるフィンラルが逃げるように家を出てきたってことは、弟のランギルスが家を継いで当主になるのかな……


きっと今のランギルスは誰にも心の内を吐けないはず…… ランギルスはわたしにだけ本心で話してくれている。なのに、わたしはランギルスのことをわかっているつもりでまだわかっていなかった。


こんなに重たいものを背負っていたなんて……家の跡継ぎのことも魔法騎士団で副団長を務めることも、わたしは知らなかった。


ランギルスとフィンラルの間にはまだ分厚い壁があって、それを壊すのは簡単じゃないことだと思った。わたしがどうこうできるわけではない。


でも、この世界にいる間はランギルスのそばにいたいと思ってしまった。ランギルスが好き……その気持ちに嘘はなかった。


フィンラルと同じ黒の暴牛で生活を共にしていることをランギルスが知ったら……?


“そばにいるよ” “ずっと味方だよ”


ランギルスにそう言ったのに……


わたしは黒の暴牛団の団員として、フィンラルの味方であってそばにいることは当たり前で……ランギルスよりもフィンラルと過ごす時間が多い。ランギルスはお兄さんであるフィンラルに劣等感を抱いている。


わたしが黒の暴牛にいることを知ったら、きっとランギルスは傷つく────……



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