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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第7章 満月の夜





────そこには、大きな海が広がっていた。


「うわぁ〜、きれいな海!!ここは……?」


「ここは王貴界の、ラクエの海岸だよ」


「あっつ……、気温がいきなり高くなったね?」


「ここは強い魔の影響で、いつも暑いんだ。僕は夜にしか来ない。昼はビーチで遊んでいるバカが多くて、うるさいからね……」


わたしたちは海岸沿いに、砂浜を歩いていた。月だけがくっきりと暗闇に浮かんでいた。静か、だった。


「……なんでわたしをここに?」


「話したいことがあるんだ。君になら、僕のことを話せる気がしてね……」


「うん……わたしでよければ、何でも聞く、から」


ランギルスは立ち止まった。遠くの水平線を見つめながら、話し始めた。


「僕には一つ上の兄さんがいるんだ。同じ空間魔法で攻撃のできない兄さんを僕はずっと、馬鹿にしてきた。兄さんは誰にでも優しくて、みんなから好かれていた。こんな僕にも優しいんだ……僕の方が何でもできて魔力も強いのに、みんなが見ているのは僕自身じゃなかった。僕の、魔力を見ていたんだ……兄さんみたいに、僕も僕自身を認めてほしいのかもしれない」


初めてランギルスに会ったとき、魔力が全てだと言っていた。それは、お兄さんへの劣等感からだった。魔力なんかなくても、ランギルスはランギルスなのに。わたしにとっては、初めて会ったときからずっとそうだ。


「わたしはずっと、味方だよ?わたし、ランギルスのことが好き、みたい……ごめん、困るよね、でも言いたくなって……」


ランギルスはわたしをそっと、抱きしめた。沈黙を包む波音がくっきりと鮮やかに聞こえてくる気がした。ランギルスの体温が温かくて、心地よかった。ずっと、このままでいたい、と思った。


「……僕にとって、君はいつの間にか大きな存在になっていたんだ」


ランギルスは抱きしめたまま、耳元でそう言った。わたしはうん、と相槌をうった。ランギルスの腰に手を回し、ぎゅっと力を入れた。


「きっと……僕も、君に惹かれてるんだ。ミライ、僕のそばに、いてほしい」


「……うん、そばにいるよ、大丈夫だから……」


ざざぁっ、と砂浜に波が辿り着いた。ランギルスはわたしを解放した。体温が離れていくのを名残惜しく感じた。ランギルスは何も言わずにわたしの顎を掴み、そっとキスをした。



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