C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第7章 満月の夜
フィンラルの空間に入ると、一瞬で王都に移動した。フィンラルが帰りのことを心配してくれていたが、今は会いたい、という気持ちが先走ってしまい、帰りのことなんてどうでもよくて。夜空を見上げると、満月だった。トリップしたあの日も満月だった。あの日からもう、1ヶ月も経っていた。
太陽が沈んで暗闇が空を覆っても、王都の夜は明るい。おしゃれなレストラン、バー、賭博店などたくさんのお店が賑わっていた。路地裏のバーへと足早に歩いた。
ドアを開けると、マスターに声をかけられる。
「いらっしゃい、久々だね!」
「はい、いろいろあって……」
ランギルスはいつもの席に座っていた。
「ランギルス!よかった……会えて……」
「僕は……別に、」
ランギルスはそう言った。
「会えない日もずっと、会いたい、って思ってた。王都が襲撃されて……もう、二度と、会えなくなるんじゃないかって……そう、思ったの」
「そんなわけないでしょう?僕は魔法騎士だぞ?」
ランギルスはふっと笑った。わたしもつられて笑った。こうしてまた、会うことができてうれしかった。わたし、ランギルスのことが好き、なんだ。こんなに胸がいっぱいになって、ドキドキして、苦しくて。もっと、ランギルスといろんなことを分け合えたらいいな、そう思った。苦しいときも、つらいときも、悲しいときも、うれしいときも、楽しいときも。
「このあと、時間あるかい?君と行きたいところがあるんだ、帰りは送るよ」
「うん、もちろん!」
わたしたちはバーを出て、ランギルスは空間を出す。わたしはその様子をじっと見ていた。
「何見てるんだい?早く僕の空間に入ってくれよ」
「ごめん……、グリモワールは使わないのかなって……不思議に思って……」
「僕はこんな空間移動にグリモワールは使わないよ、攻撃魔法だけだね」
ランギルスの空間に入ると、すぐに潮風の匂いが鼻についた。