C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第6章 魔法帝にご挨拶
隣を見ると、ノエルが頭からびしょびしょになっていた。
「ソ、ソリド……兄様……」
ノエルはそう言って、呆然としていた。
「大丈夫?」
わたしは、ノエルにハンカチを差し出した。先ほどの人物はノエルのお兄さんだった。
ノエルは王族であるシルヴァ家の末っ子で、魔力のコントロールができずに、兄弟に馬鹿にされていた。わたしはノエルがひたすら魔力制御の修行をしているのを見ていたし、バネッサから教わっているのも知っていた。異世界から来た、わたしに優しく接してくれる。なぜ、ノエルがこんなことをされなければならないのだろうか、とイライラしてしまった。
「この場はお前に相応しくない。去れ、出来損ないが……!」
ノエルは、もうひとりのお兄さんにそう言い捨てられる。
「ノゼル、兄、様……」
ノエルはそう言って、去ろうとすると、アスタがノエルの腕を掴んで止める。アスタは突然、テーブルの上に乗った。
「こんなやつらから逃げる必要ねぇ!スゲーヤツらだと思ったのに……他のヤツらと変わらねぇじゃないか!見とけよ、オレは必ず……」
アスタが魔法騎士に向かって、そう言い放つと、魔法騎士のひとりの魔法が発動する。
砂拘束魔法”砂の匣”
「そこまでだ、不届き者が!黙れ!」
魔法によって、アスタが拘束されそうになる。アスタはグリモワールからアンチ魔法の剣を出し、その魔法を一瞬で切り裂いた。
「黙らん!!俺は必ず実績を積んで……魔法帝になって、オマエら全員黙らせてやる!!」
アスタはそう言って、魔法騎士たちに歯向かう。王族の方々も、黙ってはいられない様子だった。
ふと、会場の入り口の方に気配を感じ、目を向けると、フィンラルがこちらを覗いているのが見えた。手招きをされたので、入り口に向かった。
「ごめん、遅くなって……ミライちゃん、迎えにきたよ!なんか、やばいことになってるね……アスタくん大丈夫かな?とりあえず、俺とアジトに帰ろう!」
フィンラルの空間に入った。