C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第5章 団員としてできること
「ちっ、違うの……これは……その……」
フィンラルはわたしの顔を覗き込んで心配そうにしている。ランギルスのことを考えて、顔が赤くなっていたなんて。わたしより少し背の高いフィンラルを見上げると、目が合った。恥ずかしくなってしまい、目を逸らした。フィンラルはパッと手を離した。
「ご、ごめん……言いたくないならいいんだ。熱もないみたいだね?」
「う、うん……」
紅茶とタルトの材料も買い終えると、フィンラルから誘われる。
「景色のいいところがあるから、少し寄り道しない?」
「……え?わたしはいいけど、ヤミ団長大丈夫かな?」
「少しだけだから、平気平気〜!」
フィンラルの空間に入ると、そこは見晴らしのいい丘があった。ここはちょうど国境の近くだという。遮るものが何もなく、地平線がきれいに見える。
「ミライちゃんはさ?彼氏とか、いたの?」
「トリップした前日にフラれたの……、結婚の話しもしてたのに……ほんと、嫌になっちゃう……」
「ミライちゃん、かわいいのに……その男は損してるな〜!」
「生きる意味がわからなくなって……投げやりになってたとき、この世界にトリップして、みんなに出会えてよかった、って思ってるんだ」
「俺はミライちゃんの味方だよ、困ったことがあったら、何でも言ってね?」
「うん、ありがとう、フィンラルは優しいね」
フィンラルは顔を赤らめた。
「じゃあ、ヤミさんにバレたらまずいし……そろそろ帰るか〜!」
フィンラルの空間に入り、アジトに戻った。
「お前ら!!遅い……、何してた?」
怖い顔をした、ヤミ団長に出迎えられる。
「ひぃぃっ……!!な、何もしてないですって!!ただ、買い物してただけで……ねっ、ミライちゃん?」
「そ、そうですよ!な〜んにもないです!」
フィンラルとわたしは必死にごまかした。
「ならいい。とっとと、メシの支度しろよ。」
「は、はい!」
ヤミ団長の勘は鋭い、と思った。
わたしは残りの掃除と洗濯を済ませ、食堂でご飯を作り始めた。お菓子の材料はしまっておくことにした。チェリーの缶詰は保存が効くし、タルトは会いにいける日に焼こう、と思った。今日はランギルスに会いにいくことはできない。