C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第5章 団員としてできること
わたしは料理が得意なので、団員の今日の夜ご飯を作ろう、と思った。いつも、団員のご飯はチャーミーの魔法任せだった。共有スペースで新聞を読んでいるヤミ団長に、声をかける。
「あの……ヤミ団長……、今日の夜ご飯を、わたしに任せていただけないでしょうか?」
「あぁ?お前、料理得意なのか?」
「は、はい!」
「ただし、不味かったら許さねぇからな?」
「ありがとうございます!!」
「モッチャリ、モッチャリ……ミライちゃんの作ったごはん食べたいのら〜!」
近くにいたチャーミーにそう言われる。
ヤミ団長に許可を得て、団員の夜ご飯を作ることになった。
食堂に来てみたが、何も食材が置いていない。置いてあるのは、数種類のお酒ばかりだ。食材は常備していないようだった。どうしよう、と悩んでいると、フィンラルが食堂に入ってきた。
「ミライちゃん、どうしたの〜?」
「夜ご飯を任されたんだけど、食堂に何もなくて……」
「じゃあさっ?俺と今から、買い出しに行く〜?」
「え?いいの?フィンラル、ありがとう!」
フィンラルと買い出しに行くことになって、ヤミ団長に言いにいく。
「じゃあ、ヤミさん!ミライちゃんと、買い出しに行ってきますね〜!」
「フィンラル……テメー、寄り道すんなよ……?」
「わ、わかってますって〜!ほらっミライちゃん行くよ〜!」
フィンラルの空間に入ると、賑やかな露店が見えた。初めてフィンラルと会った町、城下町、キッカ。
「ミライちゃんとデートに来れるなんて、うれしいな〜!」
「ふふ、デートじゃなくて、買い出しだからね?」
フィンラルは女好きと噂だが、気さくで優しい人だった。入団してからも、わたしのことをいつも気にかけてくれていた。
夜ご飯の買い出しを終えて、ふと、思い出した。ランギルスにタルトを作ろう、と思っていたことを。タルトの材料を買っていこう、と思った。紅茶の茶葉も買おう、とランギルスのことだけを考えていた。
「美味しい紅茶のお店と、お菓子作りの材料が売ってるお店を教えてほしいんだ」
「……?わかった、俺に任せて!ミライちゃん、なんか顔が赤くなってるよ?風邪でも引いちゃった?」
フィンラルはわたしの額に手を当てた。