• テキストサイズ

C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第5章 団員としてできること





魔宮とは、昔の人間が残した古代魔法の使用法や貴重な魔導具といった遺物が眠るいわゆる古墳的な存在である。他国の人間や邪な理由を持った人間に遺物を奪われないように発見され次第、国の管理下に置かれ、魔法騎士団が監視、調査している。


魔宮内は魔で満ちていて、当時の人間が他人に悪用されないように施したトラップ魔法が仕掛けられている危険な場所である。今回は、敵国であるダイヤモンド王国との国境付近に出現した。敵に奪われないためにも、確実で速やかな任務遂行が望まれる。


「行ってこい、小坊主。魔法帝のダンナがテメーをご指名だ。」


ヤミ団長はアスタに任務を言い渡す。アスタは魔法帝直々に任務を任され、目をキラキラと輝かせて喜んでいる。ラックがリーダーとなり、アスタとノエルが魔宮の任務へ行くことになった。


魔法騎士団に入団すると、団員は町の安全を守るだけではなく、危険な戦闘任務にも向かわなければならない。それが魔法騎士団としての使命なのだ。


わたしは黒の暴牛の団員として雇われているが、任務に参加することはこの先もきっと、ない。雑用をこなし、自分にできることをするだけだった。現実世界では、国同士の争いなどない。毎日、自分のことだけを考えていればいい、平和な世界だった。だが、この世界は違った。死と隣り合わせ、であると思った。心配になってしまい、涙が出てくる。


「この世界には回復魔法っていうのがあるんだよ〜!だから、そんなに心配しなくても大丈夫!」


フィンラルはそう言って、わたしの背中をさすってくれる。回復魔法である程度は治療できる、と言った。


「何だ、この茶番……付き合ってらんねぇわ。テメー、団員が任務に行くたびに泣いて心配すんのか?お前は、お前に、できることをしろよ」


ヤミ団長に呆れた表情でそう言われる。


「……はい、すみません」


わたしは、わたしに、できることをする……ヤミ団長の言う通りだ、と思った。


「「行ってきま〜す!!」」


フィンラルの空間魔法で3人は魔宮へと向かった。



/ 233ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp