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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第31章 番外編 〜月〜【R18】





「ママぁ〜パパぁ〜いつまで寝てるの?もう朝だよ!!」


夢うつつでぼんやりと目を開ける。ランギルスの腕の中でゆっくりと意識が戻ってくる。


「ん……」


「月……おはよう」


ランギルスのその声で完全に目を覚ました。今日は土曜日でランギルスもわたしもお休みだ。家族でゆっくり過ごす週末をいつも楽しみにしている。いつもこうして月がわたしたちを起こしに来てくれるのが日課だった。


「月、おはよう〜」


わたしは起き上がり、ベッドの上に乗っている月の髪を撫でた。


「今日の約束覚えてるよね〜?月ね、楽しみにしてたんだから!」


月は屈託のない笑顔でわたしたちを見つめる。


「あぁ、覚えてるよ」


ランギルスが月にそう答えた。約束とは水族館に行くことだ。月は海の生き物に興味があるらしく、いつも海の生き物の図鑑を見ている。都内の水族館はほとんど行き尽くしてしまった。まだ行ってないところが一つだけあった。


水族館に行く前に、代官山T-SITEの一角にあるカフェで朝食をとる。森の図書館をイメージした敷地に古くから佇むような、懐かしさを感じる家のようなレストラン。ここのブレックファストパンケーキコンボプレートがとてもおいしいのだ。月はいつもクラシックバターミルクパンケーキに蜂蜜をたっぷりとかけて食べている。わたしたちは決まってテラス席に座る。


桜が咲き始める季節だった。ぬくもりを帯びた風が頰を撫でていった。春が一番だ。春のわくわくするような気持ちと、花や土や水の香りがまじりあった空気の甘さに、かなうものはない。


「少し近くの川沿いを散歩しないか?」


「いいね!桜も咲き始めたみたいだし!」


「月も桜見たい!!」





ランギルスの提案で、わたしたちは目黒川で散歩をしている。月が真ん中で3人で手を繋いでゆっくりと歩く。春の心地に心は柔らかくなり、都市の喧騒さえも優しく聞こえる。ふとランギルスと月に今の気持ちを伝えたくなって足を止めると、ふたりがわたしの方を不思議そうに見た。


「来年も再来年も、ずっとずっと……この景色をふたりのそばで見たい」


月は大きな瞳をぱちぱちとさせて、ランギルスは少し笑う。


「……当たり前でしょう?」


「月もママとパパとずっといっしょだよ」


風がひゅうっと吹いてわたしたちの髪を靡かせた。



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