C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第31章 番外編 〜月〜【R18】
お風呂から上がり、ランギルスとお揃いのパジャマを着る。リビングは真っ暗だ。月は自分の部屋で寝ているし、ランギルスも先に夫婦の部屋で寝ているだろう。誰の気配も感じないリビングに電気をつけ、お水を飲みに行く。
帰る場所があって、わたしのことを待っていてくれる人がいる。わたしはとても幸せだ。家事に育児に仕事に忙しいけれど、充実してる毎日だと思った。わたしたちの間に不安なんてないと思っていた。
リビングの電気を消し、部屋のドアを静かに開ける。ベッドにはわたしの方に背を向けてランギルスが寝ていた。起こさないようにわたしもランギルスに背を向けて静かにベッドに入る。
目を瞑って眠ろうとしたとき、後ろから抱きしめられた。
「……ランギルス?まだ起きてたの?寝てるのかと思ってた……」
「……」
ランギルスは黙ったままだった。
「どうかしたの?」
「……なんでもないよ」
ランギルスは小さな声でそう答えた。
わたしはランギルスの方に体ごと向いた。薄暗い明かりの中でランギルスは不安そうな表情をしていた。
「何でもなくないでしょう?絶対何かある」
「……」
「どうしたの……?」
「月が産まれる前、僕は少し不安だったんだ。ミライの1番は僕だけど、それが変わるかもしれない。そうなったら僕はまた不安になる。ミライがそんな僕を見て、愛想をつき僕のことを嫌いになるかもしれない。今日だって取引先の男に送ってもらったって聞いて、不安になったんだ……」
ランギルスは目を合わせず、切ない声でそう言った。
「わたしはね……」
ランギルスが不安になっていたのも、わたしは気づけなかった。いつもそうだ。あの世界でもランギルスの不安に気づけなくて、傷つけてしまった。こうして結婚してそばにいても、たくさん愛し合っていても、人はいつだって不安はつきものだ。ランギルスの不安がなくなるように、わたしの想いを伝えたいと思った。
「わたしは初めてランギルスに会ったとき、“好き”だと思ったの。ランギルスがエルフになるかもしれないってときも、“好き”。離れ離れになったときも、“好き”。再会したときも“好き”。わたしにはランギルスしかいないの。ランギルスも同じでしょう?わたしだけでしょう?」
わたしはランギルスにそう問いかけた。