C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第29章 C-LOVE-R
病院でもらった写真をバッグから出して、ランギルスに見せる。
「この小さい影がそうなんだって。心拍も確認できたから、7週目だって言われた……こんなに小さいのに、生きてるんだって……」
自然と涙が溢れて、目尻から零れ落ちた。その瞬間、ランギルスはわたしを優しく抱き寄せた。
「……ありがとう」
ランギルスは耳元でそう言うと、わたしを抱きしめる腕の力を強めた。そして、鼻を啜る音がした。もしかして、泣いているの……?ランギルスの顔はこちらからは見えない。
「あ、あの……」
「……うれしいよ、君が僕の子供を産んでくれるなんて、夢にも思わなかった。奇跡でしょう?君と再会できたことも。子供を授かったことも。僕は今、幸せだ……ミライ……本当にありがとう」
ランギルスからの言葉が嬉しくて、涙が溢れて止まらない。ランギルスの肩を濡らした。
「うう……うっ……うれ、し……わたしも幸せだよ……」
“幸せ”という一言では言い表せない。でも言わなきゃ伝わらない、となんとか言葉を紡いだ。止めどなく流れる涙が、溢れる感情を表していた。
「ミライ、おめでとう」
カウンターからヤミさんの声が聞こえる。
「うっ……うう……ミライちゃん、おめでとう」
フィンラルは啜り泣きながら、祝いの言葉をかけてくれた。
ランギルスはわたしを解放し、穏やかな表情で笑った。彼の青い瞳は潤んでいた。それはこれまでにないくらいに、柔らかく優しく穏やかな顔つきだった。
「なんで兄さんが泣いてるんです……?呆れますね」
「兄ちゃん、うれしくてさ……うっ……うう」
フィンラルは涙が止まらないようだ。昔も今も、弟の幸せを願っている。心が優しいのは相変わらずだ。
「それにしても、豪華な婚約指輪だな!早々にプロポーズもすませて、子供もできて、お前らやること早すぎんだろ」
「ちょ……ヤミさん……」
ヤミさんは笑っている。
「兄さんはほっといて。早く式の準備も進めないとね?体調見ながら、式場とかドレスとか決めていこう」
「うん!」
これからランギルスとふたりでつくっていく未来が楽しみで仕方がない。悲しみも、喜びも、全て分かち合って生きてゆく。あなたがそこにいるだけで、わたしの生きる意味になるんだ。