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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第29章 C-LOVE-R





ランギルスはスーツの内ポケットから名刺入れを出した。名刺といっしょに入っていたのは押し花のしおりだった。それをわたしに見せると、ランギルスは話し始めた。


ラミネートフィルムに挟んであったのは“四つ葉のクローバー”。それは、色鮮やかな緑色ではなく随分と色褪せていた。そのしおりはつくってから何年も、何十年も、時が過ぎているということを表していた。


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ランギルスが昔の記憶を思い出したのは、物心ついて公園で遊んでいるときだった。


“四つ葉のクローバーを見つけたら、幸せになれる”


幼稚園の友達から聞いた話。子供心に見つけてみたい、そう思った。しかし、毎日のように探してもなかなか見つからなかった。


ある日、お父さんとお母さんとお兄さんと、一面に芝生が広がる大きな公園へ行った。そのとき、三つ葉のクローバーの群れの中に1本の四つ葉のクローバーを見つけたのだ。見つけた瞬間、うれしくて家に持って帰ると、お父さんがラミネートで加工して押し花のしおりを作ってくれた。


その日の夜に突然思い出したのは、“ラクエの海”。一気に思い出したわけではない。少しずつ記憶は拡がっていった。そして何度も同じ夢を見た。夢の中で四つ葉のクローバーのネックレスをつけた彼女は、何度も彼の名を呼んだ。彼女の名は────……ミライ。


彼女の名前を聞いても最初はわからなかった。夢の中の彼は────……昔の自分。夢の中で彼は彼女を探しにいく、と言っていた。夢の中の自分をみているうちに、ある日突然思い出したのだという。


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ランギルスが話し終えた頃には、わたしは涙も震えももう止んでいた。


「ランギルス」


ランギルスの頰に手を伸ばし、自分の方に引き寄せた。


「わたしを……探してくれてありがとう」


その言葉のあと、自分から唇を重ねた。長い長い、触れるだけのキス。唇は音もなく離れて、見つめ合った。


「何度でも探すよ、君のことを」


ランギルスはそう言って、ベットの上の花束をわたしに渡す。


40本の赤い薔薇。それは、“真実の愛”を意味する────……


再び重なる唇。永遠の愛を誓う気持ちを確かめるように。決して目には見えないけれど、確かに今、ここにある。



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