C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第26章 遥か未来へ─ランギルスside─
────1週間後
僕はSoleilの本社前の道路の端に車を止め、車の中でミライを待っていた。あの日、再会してから、初めてふたりで会うことになった。僕は早々に仕事を終わらせて、ミライを迎えに来た。随分と日が長くなった。18時だというのに、まだ空は明るく西の空はオレンジ色に染まっていた。ここ1週間は梅雨らしく雨だったというのに、今日はめずらしく晴れていた。久しぶりに見る夕焼けはきれいだった。
〝着いたよ〟
と連絡するが、返信はない。定時は17時半だが、定時で帰れることの方が少ない、と言っていたからきっと残業だろう。
〝待たせてしまってすみません 打ち合わせが長引いてしまって……定時で上がれなくて……今行きます〟
その連絡がきて本社のエントランスを見ると、すぐにミライを見つけた。ボディラインに沿ったタイトなアイボリーの半袖ロングニットワンピースに、足元はサンダル。女らしいシルエットがくっきりと出て、大人の色香を漂わせている。わざとか?僕を誘っているのか……?ミライは童顔だからか、そこにあどけなさもあり、かわいい、と改めて思った。
僕は一度車の外に出た。本社前でキョロキョロしていたミライと目が合う。申し訳なさそうな顔をしながら小走りで近づいてきた。それだけで、どうしようもなく胸が高鳴る。気持ちを落ち着かせるために深呼吸をした。
「待たせてしまってすみません。」
ミライはそう言って僕に一礼した。またあの香りだ。僕の本能を刺激する、ペアーの甘くみずみずしい香り。
「僕もさっき来たばかりだから」
そう言って、助手席のドアを開け、ミライを乗せた。僕は銀座へと車を走らせた。
「あ、あの……わ、わたし……なんか場違いな気が……」
ミライはそう言って、運転している僕の方を見た。信号が赤になる。車が止まったとき、ミライと目が合った。
「場違いって……どういう意味だい?」
僕がそう言うと、ミライは僕から目を逸らした。
「わたしがLuneの社長とプライベートで会うのも烏滸がましいなって……Range Roverに乗るのも……」
「君は相変わらずおかしな女だね」
僕が少し笑ってそう言うと、ミライは驚いた顔で僕を見た。