C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第4章 仕事のち恋
「ここは猛獣部屋っス!ヤミ団長の趣味で飼われてるらしいんスけど、朝晩の2回餌やりしないとならないんスよ!」
「そ、そんな……怖すぎる……」
「今日は俺がやるんで、見ててくださいよぉぉ〜!」
アスタはトングに生肉を挟み、へっぴり腰になりながら檻に近づく。
「よしよ〜し、いい子いい子〜!」
猛獣らしき動物が口を開けると、物凄く鋭い牙が見えた。
ガブッ!!
アスタが猛獣に噛まれる。
「うわあああ〜!!」
「ちょっ、アスタ!!大丈夫?」
「痛ってぇぇっ!!この仕事は危険なんで、なるべく俺がやりますね!」
────団長室前
「猛獣の世話の次に大変なのが、この仕事っス!」
コンコンッ────……
「ヤミ団長〜!!団長〜!!朝ですよ〜!!」
「うるせぇ!!起こすんじゃねぇ!!殺すぞっ!!」
「し、失礼しましたぁぁ〜!!」
アスタはわたしの手を引いて、その場からダッシュで逃げる。
「ヤミ団長を起こす仕事っス!自分が毎朝起こせって言ったくせに、いつもこうなんスよ……」
「ふふっ、理不尽に耐えてるんだね!」
アスタはパッとわたしの手を離し、顔を赤らめる。
「手……スンマセン!!俺にはシスターリリーが……」
「別にいいよ?シスターリリー?誰?」
「ななな、何でもありませんっ!」
一通り仕事を教えてもらったので、アジトの外に出てアスタと話していた。
アスタは恵外界のクローバー王国最果ての村、ハージ出身。所謂、下民であり、魔法の世界では珍しく魔力が一切ない。魔力がないので魔法騎士団の入団は絶望的だったが、ヤミ団長に気に入られて黒の暴牛に入団した。
「この世界では、魔法が使えて当たり前なんですけど、俺には生まれつき魔力がないんスよ!」
「アスタはどうやって戦ってるの?」
わたしが問うと、アスタはグリモワールから大剣を出す。
「俺はこの剣で相手の魔法を打ち消す、アンチ魔法っス!持ってみます?」
大剣を渡される。この剣に触れると魔力が無効化するそうだが、わたしには魔力がないので何も感じなかった。だが、ずっしりと重く、持ち上げることさえできなかった。
「アンチ魔法か……すごいね!魔法が全ての世界で、魔法を打ち消せるなんて、アスタ、最強なんじゃない?」