C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第25章 ゆめうつつ
────8年後
わたしは30歳になった。そして、夢を叶えた。大好きなブランドのプレスとして東京都渋谷区にある本社Soleilで働いている。
あれから仕事を辞めて、大好きなブランドで働き始めた。数年は店舗で地道に働いてきた。毎日売り上げ目標を立てながら、大好きなブランドの洋服のコーディネートをSNSでも広めたり、日々努力を重ねていた。数年で店長となり、全店舗で売り上げ1位の店舗となった。そしてついに、本社での勤務をすることになった。
未だにネックレスの贈り主やローブのこともわからないままだが、ネックレスは肌身離さずつけていた。あれから何度か男と付き合うことはあっても、長く続かなかった。仕事を優先していたため、結婚なんて考えられなかったし、かつての自分のように男に依存することもなかった。今は夢だった本社での仕事に精を出している。恋愛はしばらくするつもりはない。誰かを愛して、誰かに愛された記憶がわたしの奥深くにある。その記憶がわたしを満たしていたのかもしれない。その誰か、はわからないまま時が過ぎていた。
「今日はコラボ商品の打ち合わせがあるから、ついてきてね」
本社に出勤するなり、上司にそう言われる。
「はい!わかりました!」
そう返事をして、席についた。今日の予定を確認し、仕事に取り掛かる。15時に株式会社Luneで打ち合わせ後、直帰、と。
ファッション事業を展開する株式会社Luneで人気のブランドとのコラボ企画。若い世代を中心に、幅広い世代から人気のアパレルブランドだ。今回はコラボ商品を作るとのことで、わたしはこの企画のメンバーとして選ばれた。本社勤務になってから、初めて企画に参加できるので嬉しく思っていた。
────株式会社Lune
東京都港区のオフィス街に聳え立つ、ガラス張りのお洒落な佇まいの大きなビルだ。
「ここの社長は若いんだけど、すごいひねくれてるって有名らしいの〜!打ち合わせするのは社員だし、社長と会うことはないだろうから別にいいけどね!」
上司はそう言って、笑っていた。中へ入ると、打ち合わせの会議室へと案内される。緊張からかトイレが近くなり、一度会議室を出た。
トイレに向かう途中で、懐かしい香りが鼻についた。奥の部屋から香る、この懐かしい香りは────……ただ、その場に立ち尽くした。