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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第23章 愛し、愛されること





フィンラルの手を握った。いつも誰かを救うために使っているその手のひらは、とても温かかった。その温かさに目を覚まさなくても、生きている、と実感した。


「フィンラル……ランギルスを、よろしく、ね……」


フィンラルの手を握りながら、そう呟いた。もちろんフィンラルからの返事はなかった。病室にバネッサが持ってきた花を飾り、わたしたちは医療棟を後にした。


「ねぇ、バネッサ……城下町に寄ってもいいかな?行きたいところがあるんだ」


「……え?別にいいわよ」


わたしたちは城下町に向かった。




────城下町


わたしには行きたいお店があった。しばらく歩いていると、見覚えのあるお店を見つけた。あの日の記憶が蘇り、胸が苦しくなる。わかっていた。思い出のある場所に行くなんて、苦しくなるだけ。でも、どうしても行きたい理由があった。


「いらっしゃいませ。あら?お客様、こないだの……今日はごいっしょではないのですね。とてもお似合いですよ、そのクローバーのネックレス」


バネッサとお店に入ると、お店の人は微笑ましい顔でそう言った。


「今日はいっしょではないんです……彼に何か、渡したいんです……記憶に、残る……大事な……かたち、を……」


そう言葉にすると、涙が視界を歪ませた。途端に溢れて、頰を伝っていく。止めどなく流れていく。顎からぽたぽたと垂れていき、地面を濡らした。


「ミライ……」


隣にいたバネッサが小さな声でそう呟き、わたしの震える肩を抱いた。お店の人は何も言わずに、アクセサリーのショーケースを開けた。かたん、という音だけが、お店に響いた。


「お客様、こちらはいかがでしょうか?天然石をモチーフにした、ネックレスです。天然石にはいろんな意味が込められています。送る相手によって、選ぶのがオススメです。なんとなく、こちらのフローライトを出してみました。こちらは別名、蛍石と呼ばれます。暗闇で光る希望の石です。お守りとしても、渡す方が多いんですよ。」


「希望の、石……?」


「フローライトは精神と心を結び、迷いに対して希望に導いてくれる目覚めの石です。また、問題を解決し、道を示す灯台のように解決の糸口を照らしてくれる石でもあります。」


海の色のようなエメラルドグリーンの、小ぶりな石がついたネックレス。



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