C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第23章 愛し、愛されること
「だから……お守り、なんですね、守ってもらうだけなんて……わたしもずっとそばで守って、あげられるでしょうか……」
「そうですね、アクセサリーは想いを込めて贈るものですから、きっとお客様の想いは届くはずです。お客様もそのネックレスをもらったとき、そう感じたはずではないですか?」
ランギルスはわたしにネックレスを渡したとき、想いをかたちにした、と言っていた。確かにそのとき、ランギルスの想いが十分すぎるほど伝わってきた。
「……はい」
「ならば、お客様の想いも伝わるはずですよ。大事なことは相手を想う気持ちです。その想いがかたちとなって残りますから、2人を繋ぐ証となるはずです。」
「……そのネックレスを、お願いします。プレゼント用に包んでください。」
「かしこまりました。」
ネックレスを購入し、お店を後にしようと、扉を開けた。
「お客様といっしょにいるときの彼は、とても幸せそうでした。お客様がお手洗いに行っている間に、お客様のためにそのネックレスを買っていました。わたしは誰かを想いながら、アクセサリーを選ぶお客様の幸せそうな顔が見たくて、このお店を開きました。誰かを愛して、誰かに愛される、愛し愛されることって、生きている意味ではないですか。おふたりの幸せを心から願っています。」
お店の人はそう言って、わたしたちを笑顔で見送ってくれた。
「ごめんね、バネッサ……付き合わせちゃって……」
「いいのよ……でも素敵ね……お互いに想いを込めてアクセサリーを送り合うなんて……きっと、ミライの想いは届くはずよ」
バネッサがそう言った。
ありのままの自分を誰かに愛されて初めて、自分を認められるんだ。愛がなければ、生きていけない、そう思った。誰かに涙を見られて初めて、その涙は輝くんだ。ひとりで悩んでいたランギルスは、自分を認めることができたのだろうか。わたしがランギルスを愛して、少しは苦しさから救われたのだろうか。わたしがいなくなっても、このネックレスがランギルスを守ってくれるだろうか。そんな想いを込めて、ランギルスのお守りとして、このネックレスを贈りたい。わたしがこの世界から、ランギルスの目の前から去る前に。満月の夜、その最後の日に。
今日も月が消えていく。弓のような形をしていた月は、少しずつ丸みを帯びて。