C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第23章 愛し、愛されること
────次の日
バネッサがフィンラルのお見舞いに行くとのことで、いっしょに王都に来ていた。すぐそばにランギルスがいるのに、会うことは許されなかった。魔法帝から言われたことだった。アジトに帰る前、魔法帝と話したときのことを思い出していた。
─────────────────────
「ランギルスは覚えてないそうです……」
「そうか……無意識の裏切り、だね……」
「無意識の裏切り、ですか?」
「本人が無自覚のまま“白夜の魔眼”側に協力している、ということだね……」
「ランギルスを拘束するのをやめていただけませんか?ランギルスだってこんなこと……したいわけじゃないのに……」
「君の気持ちもわかるけど、わからないことが多すぎる。この国のためにも拘束するしかないんだ。すまないね……」
「ランギルスが次の満月の夜、わたしを現実世界に帰す、と言いました。自分自身に、この国に、危険なことが起こる、だから君を守りたい、と。ランギルスの拘束はいつまで……ですか?」
「危険なことか……わたしもそんな気がしているよ、ランギルスの選択は間違っていない。きっと、君を愛しているからだね。いつまで拘束するかはわからない。だが、満月の夜だけは君の元へ行けるようにするから、安心してくれ。」
「それまでは会えない、ということでしょうか……」
「……すまない、そういうことになるね……」
─────────────────────
「彼のこと、心配よね……本当の彼を知ってるのは、ミライだけだって、団長も言ってたわ。ミライを現実世界に帰す選択をしたのは、きっと彼なりの理由があるのよね……彼が拘束されているってことは帰る日まで会えないのよね……」
バネッサは神妙な面持ちでそう言った。医療棟に着き、フィンラルの病室に入ると、薬品の匂いが鼻についた。なんとも言えないこの匂いは、きのうまでランギルスと過ごした部屋と同じで、胸が苦しくなる。きのうまでそばにいたのに、体温を感じていたのに、今はこの手のひらで触れることさえできなかった。
フィンラルはきれいな顔で眠っていた。わたしだけじゃない、フィンラルだって本当のランギルスのことをわかっている。だから、フィンラルにランギルスのそばにいてほしい。救ってほしい。愛を、与えてほしい。