C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第23章 愛し、愛されること
────アジト
「「ミライ、おかえり〜!!」」
団員みんなに出迎えられる。だが、なぜかアスタがおかしい。いつも元気なアスタがなぜかボーッとして、気が抜けていた。
「アスタ……?」
わたしの呼びかけにも、はい……とアスタは力なく返事をした。不思議に思っていると、団員のみんなが教えてくれた。選抜試験では、ノエルのチームが優勝したこと。ノエルのチームにはユノさんがいた。ずっと張り合い、互いに認め合い、高め合ってきたライバルだった。ライバルと戦えず、置いていかれることにアスタは悔しさを感じているようだった。
あのとき、アスタがいたから、ランギルスを止めることができた。だが、結果は引き分けに終わり、止めるためにブラックの力を使ったせいで力尽きてしまった。アスタのおかげでランギルスは、何か、を感じたはず。魔法を何のために使うのか、魔導士とは何か、勝ち負けだけではない、ということを。
選抜試験の結果の知らせは1週間後に届くとのことだった。わたしはその結果を知ることはできないだろう。だが、きっとこの世界を、ランギルスを、救ってくれる。そう信じたかった。
「あの……実は……みんなに話したいことが……」
わたしがそう言うと、団員みんなが不思議そうに、わたしの方を向いた。
「次の満月の夜、現実世界に帰ることにしました……」
「「え〜!!」」
「……そうか、それはよかったな」
ヤミ団長がそう言った。
現実世界に帰るにはランギルスの力が必要不可欠で、そこに真実の愛がなければ道はできない。帰るということは、お互いを愛していなければ、帰ることさえできないことをみんなが知っている。わたしを守るために、この世界から救うために、ランギルスが魔法を使うこと、傷つけ合って、すれ違って、わたしたちがようやく出した答えに、誰もが何も聞いてくることはなかった。
「「次の満月って……あと1週間?!」」
「トリップしてきてくれたこと信じてくれて、暴牛の仲間にしてくれて、ありがとう……グスッ」
みんなが信じてくれたから、みんなが居場所をつくってくれたから、前を向けた。みんなを見て、生き方や価値観だって変わったんだ。もう怖くない。現実世界に戻っても、もう自分を見失わない。希望を捨てない。時間を無駄にしない。時間は有限だったんだ。