C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第23章 愛し、愛されること
次の満月の夜、わたしは現実世界に帰るんだ。もう二度と、この世界に戻ってくることはできない。わたしを守るために、ランギルスが決めたことだった。お互いのために、わたしたちは別れを選んだのだから。わたしたちはバラバラになっても、お互いを想う気持ちは変わらない。二度と会うことができなくても、わたしたちは別々の世界で生き続ける。生きてさえいれば、愛で繋がっているはずだと信じて。わたしの届かぬ場所にいても、愛のある日々を、どうか────……そう願って。
この世界の記憶がなくなるとしても、ランギルスからもらったネックレスを肌身離さずつけて、できるだけ毎日ランギルスのことを思い出す。そうすれば忘れないだろうか。忘れてほしくないし、忘れたくない。本当のことを言えば、離れたくなかった。ずっとそばにいたかった。ずっと、ずっと。ランギルスは何百年かかっても、わたしを探しにいく、と言っていた。現実的にありえないことだけれど、その言葉を信じたかった。
────次の日
わたしは魔法騎士団本部で魔法帝との話しを終えると、ヤミ団長とバネッサが王都まで迎えに来てくれていた。
「おう、お疲れ」
「ミライ〜!アジトに帰るわよ!」
2人にそう言われ、2日ぶりにアジトに帰ることになった。次の満月で現実世界に帰ることを、暴牛のみんなに言わなければならない。今、この時も、ランギルスが拘束され尋問されている。わたしにはランギルスを助けることができなかった。
「おい、早く乗れ」
ヤミ団長が箒に乗って、そう言った。ヤミ団長はいつもフィンラルの空間魔法で移動しているため、箒に乗っているところを初めて見る。
「……ヤミ団長?箒乗れるんですね」
「あぁ?なめてんのか?行くぞ」
ヤミ団長にそう言われ、後ろに乗ると、箒は勢いよく空に飛び上がった。ヤミ団長の背中にしがみついた。空は怖いくらいに青かった。ガラスのように青く澄み渡っている。しだいに王都から離れていく。ヤミ団長は選抜試験にいなかったため、あとからあの日のことを聞いて、自分の団員を傷つけられて、ランギルスのことをよく思っていないだろう。きっと、ヤミ団長も何か、不可解なことが起こっていると、そう思っているのではないだろうか。
「お前だけは、あいつのことを信じてやれよ」
ヤミ団長はそう言った。