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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第22章 君と僕─ランギルスside─





ミライはそう言って、僕に水を持ってきてくれた。水を一気に飲み干し、その冷たい喉越しにさっきまで見ていた光景は夢だったんだ、と思い知らされる。


まるで未来の出来事を暗示しているかのような悪夢だ。僕は第三者として、夢の中の僕を見ていた。夢の中の僕は姿形は僕なのだが、“ラトリ”と呼ばれていた。僕も団員も、まるで別人のようだった。僕が選抜試験で我を失っていたことや僕の体を乗っ取られている感覚と、僕の見た夢は繋がっている気がした。つまり、夢の中の僕は何らかの方法で転生魔法が発動し、“ラトリ”という名のエルフに転生していたということだろうか。団員もエルフに転生し、かつてエルフ族を滅ぼした人間を殺し、復讐を果たそうというのか。


僕は夢の中でミライを、殺した。エルフに転生した僕はミライの記憶など残されていなかった。エルフにとってはミライも、同じ人間だ。人間は皆殺しにすることが目的なのだから、当然のように僕はミライをこの掌で、殺したのだ。ただの夢にしては、リアルすぎる。これは未来の暗示なのだろうか。そう思わずにはいられなかった。ブラックマーケットであの占い師も言っていた。未来の夢を見る、と。もしも、それが本当だとしたら、僕は、僕はまた、この掌でミライを────……


“白夜の魔眼”が目論んでいる、真の姿に生まれ変わるということはおそらく転生魔法のことだろう。それを止めなければならない。だが、発動条件もエルフに転生する人間も、わからないことだらけだった。夢の話しをしたところで、選抜試験で失態をした僕のことを信じてくれるわけがなかった。転生魔法が止められないとしたら、この国は危険だ。


僕はこの世界から、ミライを救わなければならないと思った。僕は初めて、誰かを守るために魔法を使いたいと思った。たとえ、ミライから僕の記憶が消えたとしても、ミライを殺してしまうくらいなら、この世界でミライを守れないなら、この掌で、僕の魔法でミライを守りたい。守るために一刻も早く、別れを選ばなければならない。


だが、いつ発動する?未来を暗示していたとしても、僕の見た未来は一体いつなのかがわからない。ミライを異世界に送ることができるのは、満月の夜だけだ。夢の中で見た月、あれは────……



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