C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
「でたらめ言わないでください!もう……」
そう言ってお金を払い、そそくさとお店を出てきた。
「君が行きたいって言ったんじゃないか……たかが占いごときに何をそんなにムキになっているんだい……全く君はおかしな女だ」
ランギルスはそう言って、怒っているわたしを見て笑った。ブラックマーケットを出て城下町のキッカに戻る。西の空がオレンジ色に染まり陽が傾きかけていた。
「ランギルス……そろそろ医療棟に戻らないとだね……」
「戻る前にラクエの海に行かないか?夕陽が沈む海もなかなかきれいなんだ」
「うん、行く!」
ランギルスはいつになくそわそわしている。変に思ったが、そのままランギルスの空間に入ると潮風の匂いが鼻についた。
──ラクエの海
陽は西に傾き、海はオレンジの鏡のように光っていた。やっぱりラクエは少し暑い。昼間の騒々しさや夜の神秘的な雰囲気とは違い、夕陽が照らされた海はとてもきれいでどこか哀愁を感じる。
まだランギルスに話せていない不思議な出来事の真相である海底神殿の伝説のことを今、話そうと思った。
「夕方の海ってきれいだね……あの水平線の向こうはずっとずっと続いてると思うと不思議だね……」
「あぁ、夜もいいけど僕は夕方も好きなんだ」
「あのね……話したいことが……あるの」
「……何だい?」
「この前ラクエで起きた不思議な出来事のことなんだけど……ヤミ団長が調べてくれてね……」
「わかったのか……?僕は未だに信じられないけどね……」
「海底神殿の伝説でね、満月の夜24時に想いが通じ合った者同士が異世界に繋がる道への空間に入ることができる。それは、真実の愛がなければ繋がらないんだって……お互いにね。その道に繋がる空間を作れるのは空間魔導士だけ。現にわたしはあのあとフィンラルと試したんだけど、道はできなかった……」
「……」
「わたしはランギルスを好きだから……ランギルスもわたしを好きだから道ができたんだって信じたの」
「ミライ……、僕はミライが……好きだ」
「……うん、わかってた」
「僕を信じてくれて僕から離れないでいてくれて……ありがとう」
「わたしも好きだよ……どんなに傷つけられたって、それはランギルスの愛だってわかってるからもう大丈夫」