C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
トイレから戻ると、ランギルスはお店の外に出ていた。わたしがのろのろとネックレスを見ていた挙句、トイレに行ったり待たせてしまったから痺れを切らしたに違いない。
お店の人にトイレをお借りしたお礼を言うと、お店の人は何やら意味深な笑みを浮かべている。
「お客様は幸せ者ですね!」
「……へ?」
よくわからないことを言われてしまった。ランギルスを待たせているので散々お店にいたのにも関わらず、何も買わないまま外に出た。西の空に向かって太陽は進んでいる。楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。このまま時が止まればいいのに、そう思った。
「待たせてごめん……紅茶を飲みすぎたみたい……あの、ちょっとブラックマーケットに行ってみたい」
「は……?なんでまたそんなところに僕を連れて行くんだよ……」
「バネッサが言うにはね、当たるって噂の占い?があるらしいの!未来を予想できるとか。楽しそうだし、行ってみたい……」
「仕方ないね……」
────城下町ブラックマーケット
「なんだここは……随分と胡散臭いね……」
「ランギルス、来たことないの?」
「僕がこんなところに来るわけないでしょう?君が言うから仕方なく来てやってるんだ」
バネッサが言っていた占いのお店に入ると、かなりお年を召したおばあさんがいた。こちらに気づく様子もないのでわたしから声をかける。
「あの……占ってほしいんですけど……」
そう言うと、おばあさんは大きな水晶玉に手を当て始めた。
「あんた……この世界の人間じゃないじゃろ?」
何もわたしのことを話していないのに、異世界から来たことを当てられてしまった。
「は、はい……」
「ならばこの国からすぐに逃げた方がいい……近いうちにすでに人間によって滅ぼされたエルフ族が転生魔法によって復活し、そのエルフの民によってこの国は滅ぼされる。朽ち果てた世界であんたは……」
占い師のおばあさんはそう言うと、ランギルスの方を見た。
「あんたの隣にいる男……その男に攻撃され死ぬ運命じゃ」
「……え?な、何言って……ランギルスはこの世界の立派な魔導士です……エルフの民だって言うんですか?」
「信じるか信じないかはあんた次第じゃ……近いうちにその男はこの国の未来を夢に見るだろう。それは現実になる。」