C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
「おはよう。シャワーを浴びてオーヴェン先生のところへ行っていたの。ランギルス……どうしたの?悪い夢でも……見た……?」
机に朝食のトレーを起き、まだ荒い呼吸のランギルスの背中を優しく撫でながら問いかけた。いや、とランギルスは首を振って否定する。
「起きたらミライがいなくて、きのう僕は本当にミライを自分の手で殺してしまったんじゃないかってわからなくなって……悪かった……きのう君をたくさん傷つけた……すまない」
ランギルスは俯いたまま切なげな声でそう言った。
「……わたしはここにいるし、これからもランギルスのそばにいるよ?ランギルスが愛してくれてるって信じてるから、だから何をされても大丈夫」
「……確かなものがなくてもこんな僕を信じられるのかい?」
「わたしはランギルスが好き、わたしの中でそれは変わらないこと……確かなものがないと信じるのは怖いけど、傷つく覚悟はできてる。だから、信じるよ」
「……正直、君の前でまた我を失ったら抑えられる自信はない。多分この先、僕は何度も……君のことを傷つける」
「……うん」
「だから僕から離れて、黒の暴牛で仲間と暮らしていた方がいい。僕はこれ以上、僕の掌で君を傷つけたくない。そう思ったんだ……」
「わたしはランギルスから離れることの方が嫌……そばにいるって約束したでしょう?」
わたしがそう言って笑うと、ランギルスは顔を赤らめ目を潤ませているように感じた。ランギルスはそれを隠すかのように窓の外を眺める。
「……そうか。もう朝だね……シャワーを浴びてくるよ」
「オーヴェン先生が起きたら診察に来るようにって言っていたから、シャワー浴びた帰りに診察室へ行ってきてね」
「あぁ、わかったよ」
ランギルスは部屋を出ていった。
ランギルスは柄にもなくきのうの出来事を謝ってきた。雪でも降るんじゃないか?と思ってしまった。ふふっと思い出し笑いをすると静かな部屋に笑い声がやけに響いた。なんだかそれが切なくて明日からランギルスが拘束されてしまうということが頭によぎる。
ラクエの不思議な出来事が海底神殿の伝説であるということをランギルスにまだ話していない。ランギルスはそれを聞いたら何と言うのだろう。2人で異世界に逃げようと言ってくれるのだろうか?それとも────……