C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
オーヴェン先生は神妙な面持ちだ。
「魔法帝からの指示もあって彼は今日1日、医療棟で過ごしてもらうことになっている。もちろん君もいっしょに彼のそばにいてくれ。君は明日の朝、魔法帝のところへ彼のことでわかったことを報告しに行くことになっている。報告が終わったら自分の団に帰れるからね。ただ……彼は……今日1日療養して明日から……言いづらいんだがね……魔法騎士団本部で拘束されることに決まったんだ。」
「……え?ランギルスを……拘束?そんな……ま、待ってください!ランギルスは覚えていないんですよ……なのに拘束だなんて……」
「君が力になってくれたことは感謝している。だが、君が言うように彼自身があの魔のことを何もわかってないからこそ危険なんだ。またいつ発動するかわからない。彼自身がわかっていなければ何かが無意識に発動する可能性があるからね。国民の安全のためなんだよ。」
「……わかり……ました」
「今日1日彼と過ごして、何かわかったことがあれば包み隠さず魔法帝に話すように。彼が起きたら診察室へ来るように伝えておいてくれ。診察して問題がなければ外出許可を出すから、どこかへ行ってくるといい。ただ彼はまだ体が本調子ではないはずだから、夜はこの医療棟に必ず帰ってくるようにね。あ、そうそう君のところの団員が着替えを持ってきてくれたよ。」
オーヴェン先生から着替えを受け取る。
「……はい。ありがとうございます。あの……フィンラルは……?」
「一命は取り留めたが、まだ目を覚まさない。この医療棟に入院しているよ。朝食を持っていきなさい。」
オーヴェン先生から渡された2人分の朝食を持って、その場を後にした。なぜか手が震えていた。カタカタと食器の音がやけに耳に響く。
部屋に戻る足取りが重い。ランギルスが拘束されるなんて……オーヴェン先生の言う通り、本人が無意識となるといつ発動するかわからない。国民の安全を考えたら、そうするしか方法がない。胸が痛かった。ランギルスの身に何が起こっているのか誰もがわからない。彼自身もわからないまま、無意識に発動している。
ランギルスの病室のドアを開けると、ベットの上で上体を起こしはぁ、はぁと荒い息を吐いているランギルスがいた。わたしを見るなり、安心した表情で呟いた。
「よかった……ミライ……」