C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
わたしはランギルスの歪んだ想いに応える覚悟をした。その想いを伝えたあと、正直なところ記憶が曖昧で気づいたら気を失っていた。
今何時だろう?ランギルスを起こさないようにもぞもぞと動き、窓の方を見ると空が白んでいる。夜明けが近いようだ。ランギルスが目を覚ましたことを回復魔導士であるオーヴェン先生に言いに行かなければならない。戦闘でのケガの診察や治療もあるし、今後どうするのかも聞きにいかなければならない。
魔法帝はランギルスが“白夜の魔眼”に加担しているのではないかと疑っている。だが、ランギルスは選抜試験で我を失っていたことを覚えていないようだった。あの凶々しい魔力は一体何だったのだろう。魔法帝でだけでなく、あの場にいた魔法騎士たち全員が疑念を抱いていた。
故意的ではないとするなら無意識のうちに魔を増強していたということになる。ランギルスの中でもう1人の誰かが意識を乗っ取っている。故意に加担していたゲルドルさんとは違って、無意識に“白夜の魔眼”に加担しているとするなら一体その誰かは誰なのだろう。信じたくないが間違いなくもう1人の誰かは“白夜の魔眼”側であり、どうやってランギルスを乗っ取っているのか。
オーヴェン先生に報告するついでに、喉が乾いたしシャワーも浴びに行こうと思った。ランギルスは疲れていてまだ目を覚まさないようだ。起こさないようにすっと腕の中から抜けた。ワンピースは破かれて着れないため床に脱ぎ捨ててあるランギルスのTシャツを着て病室の外に出る。
水を飲みシャワーを浴び終わると、廊下の窓からは朝日が差し込んでいた。白んでいた空はすっかり青空に変わっていた。診察室の方へと行くと、オーヴェン先生がすでに仕事をしていた。
「オーヴェン先生、おはようございます。黒の暴牛のミライです。魔法帝に指示を受けてランギルスの部屋で様子を見ていて……目を覚ましました。」
「おはよう。魔法帝から聞いているよ。座って話そうか。」
オーヴェン先生にそう言われ、診察室のイスに対面に座った。
「目を覚ましたランギルスはいつも通りでした……あの凶々しい魔については覚えていないみたいなんです……元々魔力が強いとはいえ、あの凶々しい魔力には疑念しかありません……フィンラルにあんなことをするなんて信じられませんから……」
「そうか……」