C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第20章 変わらないこと
目が覚めると、わたしはランギルスの腕の中にいた。どうやらお互い裸のままで寝てしまったようだ。2人の体温を隔たるものがなく、肌と肌が触れ合って布団の中はとても温かい。ランギルスの心音と規則正しい寝息に安心し、ランギルスの寝顔を見つめる。
まるで子供のようにあどけない寝顔をしていた。それがあまりにもきれいでランギルスの頰にそっとキスをした。そして、ふわふわの栗色の癖っ毛を優しく撫でる。ランギルスが安らかな夢の中で、眠り続けられますようにと願って────……
明日もまた、同じ現実の中を生きなくてはいけない。夢の中だけはランギルスの苦しみや痛みが少しでも忘れられる世界であってほしいと思った。
魔法帝から指示を受けてランギルスの病室に来たとき、ランギルスはまだ眠っていた。どこか苦しそうな表情で顔を歪めていて、わたしは咄嗟にランギルスの手を握った。
ランギルスの掌から放たれる空間魔法。その魔法が当たると空間ごと削り取られるという強い魔法である。相手を傷つけることは怖いと思う。傷つけることで自分を保って、本当の自分はきっと誰よりも繊細で弱くて脆くて、すぐ壊れてしまいそうなのはランギルス自身なんじゃないのかな……そう思い、ランギルスの掌を撫でた。いつも何かを傷つけている掌はとても冷たく、かさついていた。
わたしはいつの間にかランギルスの手を握ったまま寝ていた。誰かが動く気配を感じて目を覚ますと、いつものランギルスに戻っていて冷たかった掌も温かくなっていた。
お水を渡してしばらく話していると、ランギルスの掌はだんだんと冷たくなり突然乱暴に押し倒された。今、この病室でランギルスのそばにいる事実があっても、ランギルスは目の前のわたしを信じることができなくて確かな繋がりを求めて乱暴に抱いた。
ランギルスが自分の掌を見つめ涙を流したとき、ランギルスの苦しみや痛みが全て溢れていた気がした。ランギルスはずっと1人で苦しんでいた。逃げたくても逃げられなくて、優しくしたくても傷つけることしかできない自分を自己肯定できなくて、魔力がなければ誰からも愛されないと自己嫌悪になっていた。
わたしにはその苦しみをわかるなんて軽々しく言えないけど、受け止めることはできる。ランギルスになら傷ついても壊されてもそれでもいい。
わたしが全部受け止めるから────……