C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第19章 掌─ランギルスside─※
ミライは安心した表情をして、手を握ったまま僕の顔を見つめる。
「心配してたの……気分はどう?お水飲む?」
僕は恥ずかしくなってパッと目を逸らした。
「あぁ。そうだね……」
「わかった」
ミライは僕の手を離して部屋を出ていく。バタンと扉の閉まる音がやけに響き、ミライがいなくなった部屋で冷たさの戻った自分の掌を見つめていた。しばらくすると、ミライが水を持って戻ってきた。ミライが渡してくれた水を一気に飲み干す。押し寄せる不安感を飲み込むように。ミライはベットの横で立ったまま僕の様子を見ていた。
「ランギルスがもう目を覚さなかったらどうしようって思ったの……すごく不安だった……」
「は……?君に心配される覚えはないね」
「ふふっ……いつものランギルスだね?よかった……」
「どういう意味だ?いつものってまるで僕がふつうじゃなかったような口ぶりだね……」
「……何も覚えてない?覚えてないならいいんだ……ランギルスが無事ならそれでいいの」
ミライは再び僕の手を握った。ミライの温かい体温が巡り、僕の掌が温かくなっていくと共に僕の心の不安感も消えていく。今なら僕の気持ちを素直に伝えられる気がした。僕の身勝手な歪んだ想いで傷つけてしまったことを謝りたかった。僕はギュッとミライの手のひらを握り返すと、ミライは僕を不思議そうに見つめてきた。
「どうしたの?」
「ミライ……」
僕はやっとミライを抱きしめることができる……そう思いミライを僕の方に引き寄せようとした。そのとき、ミライの破けた服が目に入り僕はある光景を思い出した。
───ミライが試合中、兄さんの止血をするために無我夢中で服を破っていた姿を。
ミライが泣きながら兄さんの名を呼び続けていたこと。黒の暴牛のヤツらとフィールドに降りてきてミライが敵意を含んだ目で僕を見ていたこと。そんなミライを見て僕は理性が吹き飛び、ミライに魔法を当てようとした。だが、それもあいつによって遮られたんだ……温かかった僕の掌が冷たくなっていく。
もう二度と僕から離れることのないように、今度こそ僕のだけのものにする────……