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C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】

第19章 掌─ランギルスside─※





僕は突然、強烈な不安感に襲われた。確かにミライと想いが通じ合い、ミライが僕を求めてくれているという実感が目の前にあるというのに。なぜか、温かい気持ちとは裏腹に胸が苦しいんだ。僕はミライにもう一度聞いた。ずっと僕の味方でいてくれるのかと────……


ミライは僕の不安をかき消した。僕の頬を愛おしそうに撫で、もう一度僕に好きだと言ってくれた。2人を繋ぐ確かなものなんてないのに、僕はその言葉とミライの手から僕の頬へ伝わる体温に安心したんだ。ミライの手のひらはいつも温かい。


僕はそのとき、ミライに初めて想いを伝えた。伝えずにはいられなくなって気づいたら口にしていた。その2文字を伝えたあと、僕は急に恥ずかしくなり顔が赤くなっている気がした。見られたくなくてミライにキスをして誤魔化した。僕にこの言葉を言わせるなんてね……全く調子が狂うよ……僕らは互いに確かめ合った。見えないものを。僕はこのとき確かにミライから愛されていると実感した。愛される悦びを知ったんだ。


「夜が明けなければずっとランギルスといっしょだね?」


ミライが冗談まじりに微笑んだ。僕は素っ気なく返事をしたが、夜が明けたら僕とミライだけの世界はおしまいだ。また、現実に引き戻される。常に勝ち続けなければならないプレッシャーと戦い、日々の任務にヴォード家のことも。


僕はオカルト話なんて信じないが、さっきラクエで繋がった謎の世界に行けばミライとずっと2人で永遠に居続けられるんじゃないのか?とバカなことを考えてしまった。この世界のことを何もかも忘れてミライと2人で……逃げてしまえばどんなに楽だろうか。そんなことを考えていた。


僕は朝を迎えたくなくてなかなか眠れずにいた。ミライがそんな僕に気づいて、僕の肩を抱いて僕の髪をそっと撫でた。そして頬にやさしくキスをして“おやすみ”と言った。僕はミライから伝わる体温に安心すると睡魔が襲ってきた。僕の意識はそのまま深い眠りへと誘われていった。


ある日、僕は知りたくなかった事実を知ってしまった。ミライは黒の暴牛で働いていた。このとき、僕は感じた。僕の温かい感情が倒錯した感情に変わり狂気じみていくのを────……



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