C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第18章 選抜試験にて
ランギルスの掌から青い空間が放たれる。ランギルスは凶々しい魔を放ち、冷たい目をしていた。あなたは本当にランギルスなの……?現実から目を背けたくなりその瞬間、ギュッと目を瞑った。
ジャキッ───……
何かを切り裂く音がしてゆっくりと目を開ける。どうやらアスタがわたしたちの盾となり、ランギルスの空間魔法を切り裂いたようだ。
「キサマ……!!」
ランギルスはイライラした様子でアスタに立ち向かう。
「アイツと一緒にいた……初めて会ったときから気に食わなかったんだ……!!最低最悪の魔法騎士団……黒の暴牛アスタ!!」
「気に食わなかったのはこっちのセリフだ!!金色の夜明け副団長……ランギルス・ヴォード!!」
会場は異様な雰囲気に包まれたまま、誰も止めに入らない。誰もがただ2人を見ていた。ランギルスとアスタが戦闘を始めようとした、その時。
時間拘束魔法“クロノスタシス”
魔法帝が発動した魔法によって、一瞬で2人の動きが止まり球体の中に閉じ込められてしまった。どうやら動けなくても外からの声は聞こえるようだ。
「長い一瞬……待ってもらうよ。」
魔法帝の判断で試合の順番が変更となり、急遽準決勝の準備をすることになったようだ。魔法帝は幹部である直属の魔導士にクリスタルの用意とアスタのいるBチームとランギルスのいるGチームの他のメンバーを連れてくるよう指示を仰ぐ。
わたしたちはフィンラルの治療を黙って見守っていた。回復魔導士は切迫した様子で魔法を発動し続けている。
「……脈が弱まっている」
フィンラルの意識は未だに戻らない。一刻も争う状態だ。わたしたちは動かないフィンラルに声をかけ続ける。わたしはフィンラルを見守りながらこの世界に来てからの記憶を辿っていた。
フィンラルがあの日わたしをナンパしてくれたから、わたしは黒の暴牛に入ることができた。何にも知らないこの世界で彷徨っていたわたしを信じてくれて、仲間と居場所を与えてくれた。フィンラル……どうか目を覚まして……視界が滲んでいた。わたしは唇を噛みしめた。
しばらくすると、それぞれのチームのメンバーたちがフィールドに現れる。クリスタルも配置され、試合が始まるようだ。フィールドは危険なため、チャーミーの魔法でフィンラルを連れてバトルステージの上に避難した。