C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第17章 見えないもの
そして、24時になる────……
波の音が心地いい。星が煌めき、月が輝く。そして今日は大潮だ。
フィンラルが空間を作る。そして、フィンラルの手を離さないままわたしはフィンラルの空間に入った。
────わたしたちは手を繋いだまま、黒の暴牛のアジトに移動していた。
アジトは真っ暗でなぜか静かだ。みんな寝ているのだろうか?手を繋いだままのわたしたちは辺りを見渡し、お互いに顔を合わせる。
「ミライちゃん、俺にはやっぱり無理だったね!現実に帰れる力になれなくてごめん……」
フィンラルは申し訳なさそうにそう言った。
「フィンラル……気にしないで!わたしは大丈夫だから!」
「でもこれで確かめられた。ランギルスはミライちゃんのことが本当は好きだってこと。ミライちゃんもランギルスが好きだってこと。現実に帰るなら、真実の愛を見つけることだって大司祭も言ってたしね?もう見つかってるのに2人はすれ違ったままだし……でもこれでランギルスのことを信じられるだろ?」
「うん……信じ……たい……」
“信じる”と自信を持って言えないが、“信じたい”のだ。ランギルスのことを。たとえ傷ついても、悲しくなっても、好きだから……
わたしが自信なさそうにそう言うと、フィンラルはわたしの頭をポンッと撫でて微笑んだ。
「ミライちゃんにこんなに想ってもらえるランギルスが羨ましいよ。悔しいけど、俺もあいつを信じる。だから、ミライちゃんも信じてやってくれ。まぁ、あいつに泣かされてばっかりで嫌になったら俺に乗り換えてもいいけどさ?ははっ!」
「うん……」
「俺のせいでもあるんだ。前にも話したと思うけど、俺はヴォード家の長男でありながら攻撃ができなかった。重圧に耐えきれなくて家を出てきた。全てをランギルスに押し付けてしまったんだ……だから、あいつが悪いわけじゃない。俺といっしょにあいつを受け止めてやってくれないか?」
「フィンラル……ランギルスと仲直りできるといいね?わたし、信じる。ランギルスのこと」
「ミライちゃん……ありがとう……」
フィンラルはそう言って、わたしを抱きしめた。
「やけにアジトが静かだな……ミライちゃんもそう思わない?」
「確かに……」