C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第17章 見えないもの
大司祭から話しを聞いて、フィンラルとわたしは海底神殿を後にした。フィンラルの空間に入ると、潮風の匂いが鼻につく。
そこにはあの日と同じ、広い海があった。満月が水面に映り、幻想的だ。フィンラルは懐中時計を出し、時間を確認する。あと5分で24時になるところだ。
「フィンラル……本当に試してみるの?」
「あぁ。さっき大司祭のじいさんも言ってただろ?あのじいさんが見たんだって言うんだから本当のことなんだよ。ただランギルスの気持ちを確かめるには、俺が試してみるしか方法がないんだ。満月の夜、24時って条件だけでも空間が作れるのかってことをね。もし、作れなかったらやっぱり真実の愛が必要だってことが確信できるだろ?」
「えっと……うん……そうだね……もしもフィンラルに空間が作れたとしたら、真実の愛はなくても帰れるってことだよね……」
「そんなに悲しい顔にならなくても、それはそれでいいじゃないか!帰れる方法のひとつになるだろ?まぁ、そのときはランギルスの気持ちはわからないままになるけどな……」
「……わたしねランギルスのこと、魔力が強いからとか金色のエリートだから好きになったわけじゃないの。初めて会ったときからランギルス自身を見ていた。この世界のことを何にも知らなかったから……ありのままのランギルスを好きになった。フィンラルは優しいからきっとわかっていると思うけど、ランギルスは本当はね……優しくなりたいんだよ……でも今はそれができない。ひとりで苦しんでほしくないの」
「あぁ、わかってるよ。俺はランギルスと兄弟だ。どんなにバカにされても俺もあいつが本当は優しいって信じてるんだ。ミライちゃんもランギルスのことをわかってやってくれてありがとう。あいつもきっと少しは救われているはずだ。」
「でもわたしがフィンラルといっしょにいることが気に食わないみたいで怒ってるの。実は今日の星果祭でフィンラルがヤミ団長のところへ行ったとき、ランギルスに会って……わたしがランギルスを好きなら何でも言うことを聞いてって言うから何?って聞いたら、わたしを殺してしまいたいって言うの……変なの……」
「やっぱりランギルスはミライちゃんが好きで仕方ないんだと思うよ?誰のものにもなってほしくないんだ。きっと。うまく言えないんだよあいつは……」