C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第17章 見えないもの
星果祭も無事に終わってフィンラルはわたしを連れてキアトさんとカホノさんを送るため海底神殿に向けて空間を作る。
フィンラルの空間に入ると、そこは不思議な場所であった。フィンラルは一度行ったことがある場所なら空間魔法を使えるようなので、この強魔地帯である海底神殿へ空間を作ることができるのだ。激流のため辿り着くことが困難だとされているが、初めて任務で行ったときはノエルの魔法で辿り着くことができたのだという。
キアトさんとカホノさんに手を振って別れたあと、突然おじいさんに声をかけられる。
「いらはい海底神殿へ!!わしがココの大司祭じゃ~!!おや……?見ない顔じゃな?こないだ来てなかったじゃろ?」
「こんばんは〜!ミライちゃんはこないだ地上でお留守番してましたからね!」
「はじめまして……」
この陽気なおじいさんが海底神殿の大司祭だという。フィンラルがわたしのことを大司祭に説明してくれた。
「そういえば……お前さんらのとこの団長が言っていた不思議な出来事ってもしや……お前さんに起きた出来事かね?異世界から来たとかなんとか言っとったがのう……」
大司祭がわたしの方を見て、聞いてきた。
「あ、はい……そうです」
「ファッファッファッ……おもしろくてかわいい女の子が来たのぉぉ〜!わしが団長に話した伝説のことは聞いたかね?」
「聞きました……」
「あの話は伝説として言い伝えられているんじゃが、過去に男女2人が異世界に行ってしまったんじゃ……わしもここで何十年と生きておる。最初は眉唾物かと思ったんじゃが、わしがこの目で見たんじゃから間違いないんじゃよ。ファッファッファ……お前さんも真実の愛を見つけて、とっとと元の世界に戻るんじゃ。いいな?それともここで暮らすか?お前さんかわいいのう……わしといっしょに生活するなんてどうじゃろ?なぁに、冗談じゃよ!」
冗談まじりに笑ってくる大司祭。だが、大司祭が実際に目にしたということはあの伝説は現実味を帯びてくる。ただ、真実の愛がそこにあるかどうかは目に見えないのだ。
「は、はい……」
「それとわしの孫、キアトとカホノを祭りに連れてってくれて感謝じゃよ。」
大司祭はフィンラルの方を見て、そう言った。
「いえ、いえ……それじゃあ、俺たちそろそろ帰りますね!」