C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第16章 星果祭にて
何なのこの男たち……ローブを羽織っていないし、魔法騎士団員ではなさそうだ。所謂、ただのナンパだろうか?知らないところに連れていかれたらまずいと思った。
「えっと……待ってる人がいますので……」
「待ってる人ってさっきの男か?あいつは最低最悪の魔法騎士団、黒の暴牛だろ?あんなやつやめて、俺たちと遊ぼうぜ!」
男2人はそう言うと、わたしの腕を引っ張り無理やり連れていこうとする。魔法騎士団員じゃなくても、この世界は一般市民も魔法を使えるのだ。何か魔法を使われたら、魔力のないわたしは抵抗することができない。どうしよう……
「ちょっと……やめてください!!離して!!」
一向に離さない男2人。男の力に勝てるはずもなく、腕を引っ張られるがままに死角となる場所に連れていかれてしまった。
「おい、そこで何をしている。うるさいね……ここは大広間の近くだ……静かにしてくれないと困るよ?」
背後から聞き慣れた声がして振り返ると、そこにはランギルスがいた。
「こ、金色の夜明け……!やべぇな!逃げるぞ!」
男たちは血相を変えてわたしの腕を離し、逃げて行った。
「ミライ、君はこんなところで男漁りかい?兄さんはどうしたんだ?君を置いてどこかに行くとはね……」
「男漁りなんかしてない……助けてくれてありがとう……」
ランギルスはわたしに詰め寄りわたしは壁に背中をつけた。逃げ場がなくなりランギルスは壁に手をついてわたしの顔を覗き込んだ。
「兄さんとは仲が良いみたいだね……人前でベタベタして恥ずかしくはないのかい?兄さんといっしょに暮らしてるなら、もうしたんでしょう?……君は僕のモノなのに」
表は賑やかで明るいのに、わたしたちのいる死角の場所だけが冷たく静かだ。
「フィンラルとは何もないし、わたしはランギルスが好きなの……それはフィンラルにもちゃんと言ってあるんだよ。言ったでしょ?ランギルスのそばにいるって。味方でいるって。わからない?」
「あぁ。わからないね……君は僕だけのモノじゃない。僕だけの味方でいてほしいのに……僕のことが好きだって言うなら、僕が言ったことを何でも聞けるのかい?」
「うん……聞くよ?それがランギルスのためになるなら……」
「僕は君を……殺してしまいたい……」
「……え?何言って……」