C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第16章 星果祭にて
目には見えないものに確証なんて一つもない。だけど、愛を言葉にしてもなんか違う。嘘くさいような感じがして。だからわたしたちは不安になったり、確かめ合ったりする。
「俺、ミライちゃんのことが好きだから応援するよ。俺のこと利用してくれていいよ。泣きたいときはいつでも俺が抱きしめるからさ?」
フィンラルはそう言って、わたしをそっと抱きしめた。
「フィンラル……ありがとう」
フィンラルはわたしを好きでいてくれてわたしの気持ちを知っても尚、優しくしてくれる。お酒のせいもありフィンラルの腕の中は温かい。その優しさに甘えている自分に嫌気がさした。
「フィンラル〜!!ちょ、ちょっとミライに何してんのよ!!」
フィンラルと抱き合っていると、息を切らせてノエルが走ってきた。どうやらフィンラルを探し回っていたようだ。
「ん……?何?ノエルちゃん」
フィンラルはわたしを解放し、ノエルの方を見る。
「ヤミ団長に呼んでこいって言われたのよ!ジャック団長と戦うつもりなのよ……お取り込み中悪いけど、来てくれるかしら?」
ノエルはヤミ団長に頼まれてフィンラルを呼びにきたようで、それはフィンラルの空間魔法が必要な事態だということだ。戦闘が起きているわけではなさそうだし、個人的なことだろうと思った。
「え〜!ミライちゃんとの時間が……でも行かないとヤミさんに何されるかわかんないし……ミライちゃんごめん、ちょっと行ってくるからここで待っててくれる?すぐ戻ってくるからさ!」
「うん!全然いいよ!行ってきて〜!」
わたしがそう言うと、ノエルはフィンラルを連れてヤミ団長の元へと向かって行った。わたしはフィンラルが戻ってくるまで1人で飲むことにした。この場所は功績発表をする大広間から程近く、魔法騎士団員の姿も多い。わたしはローブを羽織ってこなかったので黒の暴牛団だということは周りからはわからない。
すると、わたしが座っている席の前に2人の見知らぬ若い男が座って話しかけてきた。
「君、かわいいね!1人なの?さっきまでいっしょにいた男って君の彼氏?」
「え……?違いますけど……」
「ならよかった。場所変えて俺たちといっしょに飲まない?」