C-LOVE-R【ブラッククローバー / R18】
第3章 黒の暴牛団
所謂ナンパだろうか。彼は茶髪の髪の襟足を伸ばし、ピアスをつけている。現実世界にもいる、絵に描いたようなチャラそうな男だった。
男は黄緑の服の上に黒のローブを身に纏っている。確か、きのう出会った男も同じようにローブを身に纏っていた。ただ、色もマークも違うものだった。この世界では、このローブに何か意味があるのだろうか。
わたしはお腹が空いていた。きのうトリップしてから何も食べていなかった。何も知らないままでは前に進めないし、とりあえず空腹を満たしたかった。このナンパ男についていくことにした。
「……別にいいですけど?」
「……え?いいの?やった〜!!」
彼は少し驚いた表情でそう言うと、わたしの手を引いて近くのレストランに入った。わたしは何にもわからないので、適当におすすめを注文してくれた。
「俺はフィンラル・ルーラケイス。フィンラルでいいよ。君は?」
「わたしは……ミライです。」
「ミライちゃんね〜!思ったんだけど、ミライちゃんって貴族なの?かわいい洋服だね!」
「えっと……これは……その……、事情がありまして……貴族じゃないんです……」
「……?そっかぁ〜!ミライちゃんは何歳なの?」
「22歳です。」
「もっと若いのかと思ったよ〜!俺は21歳。年近いね〜!」
至って普通の合コンのような会話をしている間に、次々と料理がテーブルに運ばれてきた。美味しそうなお肉に、お魚に、パンにと、豪華な料理の数々。わたしは食欲のままに目の前のごはんをひたすら口に運び、話すのも忘れてしまった。
「ミライちゃんって、細いのによく食べるんだね!俺、たくさん食べる子好きだよ〜!」
「あっ……、すみません……お腹が空いてて……」
「気にしないで食べて、食べて〜!うちの団のメンバーにも、大食いの子いるから!」
「……団?団って、何ですか?」
「……え?ミライちゃん、魔法騎士団って知らないの?」
魔法騎士団って……?わたしはこの世界が魔法が全ての世界だということしか知らない。この世界のことを聞くためにナンパについてきた。フィンラルは気さくでとても優しそうな人だ。トリップしてきたことを正直に話したら、この人なら信じてくれるだろうか。そんな淡い期待を抱いてしまった。