第6章 その後のBBQにて。
黒尾は焼けた肉を皿に乗せ研磨の姿を探した。
研磨は人の輪から外れ、体育館側の石段に座り携帯をいじっていた。
クロ「肉食え〜肉を。」
ズイッと肉が盛られた皿を差し出され、研磨は明から様に迷惑そうな顔をする。
研磨「こんなに食べれないから。クロが食べなよ。」
クロ「後半スタミナ切れしてたろ?研磨クンはもっと食べて筋力とスタミナつけないと。」
研磨の隣に腰を掛けた黒尾は、結局自分で皿の肉を食べる事にした。
研磨「ともみ、今東京駅に着いたって。」
携帯をいじる研磨が呟く。
クロ「・・・なぁ、研磨。ともみの事、どう思う?」
携帯から目線を上げた研磨と、珍しく真剣な面持ちの黒尾の視線が交わる。
研磨「どうって…何それ。
ともみがさ、最後笑ったよね。俺、ともみの笑った顔初めて見た。」
クロ「あー、アレ。俺も驚いたわ。・・めっちゃ可愛いかったし。」
研磨「・・・浮気者。」
クロ「は?可愛いって思ったんだから言う位いいだろ?」
研磨「今の彼女のコト可愛いとか誉めてるの聞いた事ないけど?」
クロ「えー?そうだっケ?本人には言ってるヨ?」
黒尾には一つ年下の彼女がいる。
告られた流れで何となく付き合い始めて数ヶ月。
今の彼女もその前の子も、正直、本気で好きかと聞かれると返答に困る。
遊びで付き合ってるつもりはないし、ちゃんと彼女を大事にしたいとは思ってはいる。
けど、だいたい別れる時のセリフは決まっていて、
「何考えてるかわからない。」
「私の事、そんな好きじゃないんでしょ?」
そんなところだ。
結局のところ、本気になれるのはバレーだけなのかもしれない、と黒尾は感じていた。
けど、
クロ「俺がともみの事、好きになったらどーする?」