第6章 その後のBBQにて。
合宿最終日の締めのバーベキュー。
木兎「黒尾ー‼︎何でともみちゃん帰しちゃったんだよー‼︎俺連絡先交換してないじゃーん‼︎」
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網の上の肉を焼く黒尾に向かって興奮気味に叫ぶ木兎。
クロ「うるせーなー。何でお前がともみと連絡先交換すんだよ?」
面倒くさそうに返事をしながら焼けた肉を周りのメンバーの更にのせていく。
木兎「ひどいっ!遠距離恋愛は無理とは言ったけど、番号も何も知らないなんてこれから俺はどうしたらいいんだ‼︎」
しょぼくれモードに入る木兎に、黙々と食べていた赤葦が声を掛ける。
赤葦「ともみさんが居てくれたお陰で試合も勝てたし絶好調だったんだからいいじゃないですか。」
赤葦の言葉に思わず手を止める黒尾。
クロ「・・赤葦。ともみは俺らの応援に来てたのに、上手い事使ってくれたようですねー?」
口元は弧を描いているが目は笑っていない。
赤葦「何の事でしょう?」
涼しい顔でサラリと交わす。
赤葦は音駒との試合の直前、
"木兎さんのキレキレのスパイク見たら、ともみさんファンになっちゃうかもしれないですね。"
そう木兎に囁いていた。
うちのエースは単純。
それでムラっ気のある木兎さんが絶好調になるなら俺はともみさんを利用する。
でも実際、ノリに乗った木兎さんのスパイクは凄かった。
木兎さんのプレーは観客を魅了する。
チラリとともみさんに視線を向けると興奮したように頬が高揚していた。
作戦通り。
のはずなのに胸がチリっと痛んだのは気のせいだと思い込ませて。