第5章 再会。
同じ高校生とは思えない…
さっきまでふざけてたクロも木兎さんも試合になると雰囲気が変わった。
冷静な研磨や赤葦さんも瞬時の判断で攻撃のパターンを考えてるんだと思うと、あのポーカーフェイスは凄いと思う。
上から見ると試合の流れが良く見えて、ルールも徐々に分かってくると、バレーが更に面白く感じた。
木兎「イエーーーイ‼︎ともみちゃん今の見た⁇俺の超インナースパイク‼︎」
試合中スパイクが決まる度、木兎さんが私に向かって叫んでくる。
私は苦笑いを浮かべ手を振るが、あまりに木兎さんのスパイクが決まり過ぎて段々居づらくなってきた。
チラチラと向けられる周りの視線が身体中に刺さる。
今更外に出たら余計目立つし。。
木兎さん、お願いだからもう叫ばないで…
私の願いも虚しく、ノリに乗ってる木兎さんはその後も点を決め続け、梟谷高校の勝利となった。
試合後、外に出ていた私は、ペナルティの走り込みに向かう音駒チームを見つけた。
クロと研磨もこちらに気付き手を上げた。
「お疲れ様。」
クロ「ハーー。カッコ悪いとこ見せちゃったな。」
「何で?クロも研磨もカッコ良かったよ。てかみんなカッコ良かった。」
クロ「そこはクロが一番カッコ良かったって言うとこだと思いまーす。」
私と研磨はじとっとした視線をクロに向け、踵を返して校門の方へ歩き出した。
待って待ってとクロも後ろから追いかけて来る。
研磨「ともみは、もう帰るの?」
「うん、このまま帰るよ。今日は合宿中にごめんね。」
研磨「それは良いケド、、次来る時は前もって連絡してよね?」
「フフッ分かってる。」
研磨「・・・。」
校門まで辿り着き、私は2人に向き直る。
「ここで大丈夫だから2人も戻って?みんなと差が付いちゃう。」
クロ「あー、、だな。そろそろ戻んねーと。
ともみ、また遊び来いよ?」
研磨「ラインのID送るからたまには連絡してね。」
「うん、2人共ありがとう。今日は会えて良かった。」
走って戻って行く2人の背中を見えなくなるまで見送る。
思い切って来て良かったな。
クロと研磨と離れるのは寂しいけど、2年前のお別れの時とは少し違う。
今の私には帰る場所があるから。
さ、帰ろう。
私はバス停に向けて足を進めた。