第2章 新たな場所。
カヨコside
予定より大分早く駅に着き、そわそわと改札口の周りを行ったり来たりしている。
姪っ子のともみが東京から出てくるのだ。
もうすぐ15歳にもなるのに携帯を持っていないと言うのだから驚いた。
今時小学生でも持っているというのに、本人曰く必要ないらしいががもう決めた!
引っ越し祝いは携帯にしよう‼︎
新たな環境であの子には笑顔になってもらいたい。
数年ぶりに会ったともみは母を亡くしたというのに泣く訳でもなく、悲しむ事もなく、ただ無表情だった。
そんなあの子の姿を見て、こんな事なら私がもっと早くに引き取ってあげればと後悔した。
妹は離婚した当時、鬱になり精神を病んだ。
一度様子を見に行くと、当時5歳のともみは育児放棄状態だった。
私と旦那の間には子宝に恵まれなかったのもあり、姪っ子のともみの事は可愛いくて仕方なかった。
育児放棄されたあの子を放っておけず、「病気が良くなるまでともみを預かる。」
と申し出た。
だが妹は狂ったように叫んだ。
これ以上私から何も奪うな、と。
結局2人を無理やり引き離す事も出来ず、定期的に連絡をする。という約束をして私は兵庫へ戻った…。
それからは何度か電話でやり取りをし、妹が新しい仕事を始めてからは少しずつ元気を取り戻したようで安心してしまい、電話をする機会も減っていった。
まさか数年後にこんな最期を迎えるなんて。。