第29章 黒尾end
広い公園内を見渡すとベビーカーを押すママさんや、散歩をしている老夫婦、ジョギングをしている人達が行き交っている。
「フフッ、鉄朗なんか浮いてない?」
グレーのスリーピースがとても似合っているが、公園には些か不似合いでつい笑ってしまう。
黒尾「いーのいーの。昼間っからともみとデート出来るなんて滅多にないんだから気にしなーい。」
鉄朗はニッと笑い、繋いだ手をぎゅっと握った。
結婚しても2人きりになるとこうして恋人同士のように接してくる。
普段は紳士的でカッコ良い鉄朗が、2人きりになると甘えてきてくれるのは何だか嬉しくて自然と顔が綻んでしまう。
少し歩くと芝生広場にベンチを見つけ、私達は腰を下ろす事にした。